第25話

「確かに面倒かもね。抜糸がまだだから創部も濡らさないようにしないと……あ、一緒に入る?」


「……は!?」


「背中流すよ」




 

平然ととんでもないことを提案してくる新を、私は信じられない気持ちで凝視してしまう。



今のはアウト、アウトだから!容姿が整っているからって、何言っても許されるとでも思ってんの!?




 

「……変態!」


「え?」


「変態ジジイ!!!」




 

これまで悪態をつかれた経験がないのか、「へんたい……へんたい……?」と譫言のように呟く新。それなりにダメージを受けている。

 




「お風呂は絶対1人で入るから!分かった!?」


「……ハイ」


「あと、創部って何のこと!?」


「創部は、傷のことだね」


「濡らさないようにすればいいの!?」


「ハイ、ソウデス」




 

新が日本語カタコト外国人になっていて、ちょっと面白い。でも、簡単に許したらダメだと思うので、私は怒りの表情を保ち続けた。




このまま颯爽とお風呂に行けたら完璧だったけど、お風呂の場所を知らないから諦めるしかない。あと、歩こうとしても、右足に力が入らずぺたんと尻もちをついてしまうのだ。新曰く、鎮痛剤の副作用のせいらしい。



 


「新!お風呂まで連れてって!」


「了解です」

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