第6話
目の前には大人の色気を感じる喉仏。それを凝視したまま、私の体は1ミリも動かすことができなくなる。
「俺の体温であたたまるのも、悪くないでしょう?」
いいえ最悪な気分です、と文句を口にしようとしたけれど。
男の深い森のような香りに包まれると、その心地良さに瞼の重みが増していき、少しずつ眠気に抗えなくなっていく。
「おやすみ」
遠のく意識の中で、私は一人納得していた。
この人は間違いなく、めちゃくちゃ変な人なのだと思う。顔は綺麗すぎるし、私のような得体の知れない獣人を普通に受け入れているし、なんか、添い寝してくるし。
こんなに怪しい人のそばに居続けるのは良くない。怪我が治ったらさっさと出て行こう。
……でも、気になることがある。
動物の本能なのか、ただそう信じたいだけなのか分からないけど。私の勘はこう言っていた。
この男の隣が、この世界で1番安全な場所だよって。
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