第7話

 



私がどうして見知らぬ男に添い寝をされる羽目になったのか。それは数時間前に遡る。


 

 

「あ、モネ。さっき私、通報しちゃったから」


「……は?なに?通報?」


「モネが猫の獣人だってこと」



 

ドーナツの製菓工場での包装労働を12時間。心身ともにお疲れモードの私に対して、姉が告げてきた言葉はまさに鈍器。頭をがつんと殴られたような衝撃を受けて、しばらく呆然としてしまった。


冷蔵庫の前で突っ立ったまま動けない私に、ソファに座る姉は眉を顰めている。


 

 

「いや、早く逃げなよ」


「……逃げるって……さっきから言っている意味が、」


「命、狙われるんじゃないの?」


 


命を狙われる?そんな……急に言われても困るし、簡単には信じられない。



……信じられないけど、信じるしかなさそう。



だって姉は、冗談を言うタイプの人間ではない。さっきの姉の発言も事実である可能性が高いのだ。

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