第3話 刹那の煌めき
ゼクスとラクスは茂みの中から現れた鬼に向かって突進した。鬼は先ほどのものよりもさらに大きく、体色は黄色で
黄鬼の巨体が地面を揺るがしながら、斧を振り上げて襲いかかる。ゼクスは冷静に剣を構え、無駄のない動きで黄鬼の一撃をかわした。ラクスも軽やかにステップを踏み、黄鬼の攻撃を交わしていた。
ラクス「ゼクス、あんた少しは攻撃してみなさいよ。私ばっかりじゃ退屈よ。」
ゼクスは無言で剣を振り下ろし、黄鬼の足元を狙った。しかし、黄鬼の鱗は硬く、ゼクスの剣は深くは通らなかった。黄鬼は再び斧を振り回し、二人を遠くへ吹き飛ばそうとする。
ゼクスは跳ねるように後ろへ飛び
ゼクス「笑いの剣…お前は今どこにいる。」
ラクス「このままじゃやられるわよ。なんとかしなさい!」
黄鬼は再びゼクスに向かって突進してくる。斧を振り上げると、今度はゼクスに狙いを定めた。ラクスはすぐに斧を阻もうと動いたが、ゼクスがそれを制した。
ゼクス「俺がやる。」
ゼクスは剣を握りしめ、目の前の鬼を睨みつけた。彼の心の中に、怒りと決意が渦巻いていた。だが、それだけでは剣の力を解放することはできなかった。ゼクスは心のどこかで、笑わなければならないと感じていた。
黄鬼が斧を振り下ろした瞬間、ゼクスはその一撃を剣で受け止めた。強大な力に押されながらも、ゼクスは踏ん張り、笑いの剣に意識を集中させた。
ゼクス「笑い…笑う理由が見つからない。」
ゼクスは振り返り、ラクスを見た。ラクスは鋭い目でゼクスを見つめ、声をかけた。
ラクス「何を言ってるのよ! 笑わなくてもいい。今はその剣を信じなさい!」
ゼクスはラクスの言葉を胸に刻み、再び剣に力を込めた。その瞬間、剣が
ゼクス「うおおおおおおおおおお!」
ゼクスは剣を大きく振り上げ、黄鬼の巨体に
黄鬼「くっ…何だこの力は!」
ラクス「やるじゃない! でも、これで終わりじゃないわよ。」
ラクスはゼクスに向かって笑みを浮かべ、ルーンアルバトロスを手に再び黄鬼に突進した。彼女の剣は感情の
黄鬼はゼクスとラクスの連携に追いつけず、防戦一方となった。そして、ついにゼクスの剣が黄鬼の首元に達し、致命的な一撃を与えた。
黄鬼「ぐぅ…お前たち…覚えていろ…」
黄鬼はその場に崩れ落ち、絶命した。
ゼクスは剣を見つめながら、力の解放に成功したことに少し驚きを感じていた。しかし、まだ完全に剣の力を引き出せたわけではなかった。
ラクス「さすがね、ゼクス。ちょっとは頼りになるじゃない。」
ゼクス「まだだ。完全には引き出せていない。」
ラクスはゼクスに近づき、軽く肩を叩いた。
ラクス「焦ることないわ。笑いの剣なんて、そんな簡単に使いこなせるものじゃない。あんたがいつか笑えるようになったら、剣の真の力を引き出せるかもしれないけど…今はそれで十分よ。」
ゼクスは静かに頷き、剣を鞘に収めた。
その後、二人は村に戻り、鬼を倒したことを村人たちに報告した。村人たちは二人を歓待し、宴を開いてくれた。ゼクスは宴の中で静かに座っていたが、ラクスは村人たちと談笑し、楽しそうにしていた。
ラクス「ねぇ、ゼクス。宴って楽しいわよ。少しぐらい笑ってもいいんじゃない?」
ゼクス「…笑う理由がない。」
ラクス「ふふ、あんた本当に難しいわね。でも、私が必ず笑わせてみせるわ。」
ゼクスはラクスの言葉に少しだけ目を細めた。彼女の明るさに触れることで、少しずつ自分の心が変わっていくのを感じていた。だが、まだ笑う理由は見つかっていなかった。
その夜、二人は村の宿で休んだ。次の日、再び旅立つことを決めたゼクスとラクスは、さらにガイムの手がかりを求めて、次の目的地へと向かう。
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