第25話鬼ごっこ
深夜、近所のコンビニに、小腹が空いたのでフライドチキンを買いに出かけた帰り道、赤いランドセルを背負った女の子を見かけたので、こんな時間に女の子がひとりで危ないなと思い、つい追いかけてしまった。そのまま家に帰るならいいし、こんな時間まで迷子で街を彷徨っているのなら交番に連れて行かないといけないなどと色々考えながら後を追いかけたら、近くの公園に入って行った。こんな深夜に公園? 児童虐待で家を追い出されて行き場がなくて公園か? とりあえず、声を掛けてみるか。昼間なら声掛け事案の不審者に疑われるかもしれないが、こんな時間に女の子ひとりでいるのを見逃す方が問題あるだろうと思い、公園に入った。
「え?」
赤いランドセルがたくさん、いや、黒も混じっているが、子供たちが、たくさんその公園にいた。
「き、君たち、こんな時間になにを」
深夜、ランドセルを背負った子供たちにワラワラと囲まれるのはあまり気分のいいものじゃないが、何とか冷静に尋ねる。
「こんな夜遅くに外を出歩いていたら、お母さんたちに怒られないか?」
「大丈夫だよ、おじさんも一緒に遊ぼ」
「い、いや、おじさんはいいよ」
俺が断ろうとすると子供たちが俺を掴んだ、ぎょっとするほど冷たく、俺は子供たちを思わず突き飛ばして、公園を逃げ出した。
「鬼ごっこだ」
誰かがそう叫ぶと、子供たちは全力で俺を追いかけてきた。
その時は何とか逃げ延びたが、あれから、深夜の買い物はしていない。また、あの赤いランドセルを見かけるような気がしたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます