第26話赤い手
小さいころから、俺にだけ赤い手が見えた、それは鬼ごっでもしているように辺りをうろうろして、人の背中にポンと赤い手形を残して消えていった。その手形も俺にだけ見えて、その手形を付けられた者は数日以内に死んでいた。親しい友達にだけそのことを打ち明けたことがあるが、そいつは、そんな怪談で俺がビビると思ってるのかと笑い飛ばしたが、俺が、そのことを打ち明ける気になったのは、その友人の背に赤い手形がついていたからだった。そして、俺の話を信じることなく、そいつは事故で死んだ。
「ま、確かに見えない奴に話しても誰も信じないよな」
俺が、その話を彼女に打ち明けた直後だった、盗み聞きでもされていたように赤い手がふっと現れて、彼女に触れようとしたので、俺は咄嗟に彼女の腕を引っ張って庇った。
「ちょ、急になにするの痛いじゃない」
赤い手が見えない彼女が俺に文句を言った。
「悪い、悪い、蜂がそばを飛んでたからさ」
俺は彼女を庇ったのだが、赤い手は彼女ではなく俺の腕を触って、赤い手形を残して消えていた。
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