第10話心霊写真
男子が心霊写真や幽霊なんて、みんなインチキだろと騒ぎ、それに普段はおとなしい子が反論し、後日、本物の心霊写真を持ってくることになった。それは、彼女の幼いころの写真で幼い彼女と母親が、どこかの田舎の景勝地で撮ったものらしく、青空を背景に楽しそうに映っていたが、その二人の後ろにうすぼんやりと男の人が写っていた。彼女の説明では、そこは祖父の家の近くの山の頂上付近の見晴台で、子供でも登れるハイキングコースがあり、祖父と母と彼女の三人で登り、その頂上で祖父が撮影したもので、見晴台に立つ彼女たちの後ろは急な崖のようになっていて誰かが余計に後ろに立てるスペースはなかったと。その写真を見た、心霊写真否定の男子が調子に乗って、こんなの合成だろと言って強引に彼女から奪い取ろうとして、ビッと破いてしまい、写真を破かれた彼女がワッと泣き崩れ、その男子は、こんなインチキ写真持ってくる方が悪いだろとクラスの女子全員の反感など気にしない体で、自分は悪くないアピールをした。
だが、私は、そっと彼女を慰めながら、確認した。
「あんたのお父さんって、あんたが生まれる前に死んだんでしょ、写真に写ってたのって・・・」
「うん、そうだよ、お母さんもこれお父さんって言ってたから、絶対本物なの」
「なるほど、そりゃ、家族の大切な写真を破られたらお父さんも怒るわよね」
私には、見えていた。写真を破った男子に鬼の形相で憑りつく男性の姿が。
しばらく、寝ている時などにその男性の霊に悩まされるだろうなと思った。
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