第5話私は見える人
その同僚の女は、自分は霊が見える人で、祖母の力を受け継いだと威張っていた。なにかと、あなたの御先祖は悪いことをしたから、お祓いした方がいいとか、あなたの家方位的に良くないものを呼び寄せると他人の不安を煽り、「私が、お友達価格でお祓いやってあげてもいいわよ」と豪語していた。ある時、上司のご親戚で連続して御不幸があり、その同僚にお祓いを頼んだ。が、そのお祓いをした直後、上司は家族もろとも交通事故で死んだ。その女は、もっと早くに自分にお祓いの依頼をしてくれてたら、完全に浄化できたのにと。自分のお祓いが効果なかったことを認めようとはせず、今日も、他の社員に不幸は前世の因縁などとうさんくさい宗教家のように自分のお祓いを勧めまくっていた。そのお祓いの効果なく死んだ上司が、家族ともども、その女を恨めしそうに睨んで憑りついているのが見えているのは会社では俺だけだった。
お祓いが必要なのは、あんただろと内心で思いつつ、自業自得と放置しようかどうしようか迷っていた。
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