第95話

「俺は、」


「聞きたくない!!芹沢くんに言うことなんて、もうないから!」




やっぱり友達止まりだった。


これ以上は無理なんだ。



涙がポロポロと溢れ落ちる。


“好き”だと伝える前に、そんなことを言わないで欲しかった。



階段から落ちた私を慰めてくれて、話せるようになって、一緒にいてくれて、本音を溢してくれるようになった。



着実に近づいたと思っていた距離は何も変わっていなかったんだ、芹沢くんからすれば。




「おい!だから、」


「ついて来ないでっ!!」




好きなのに、伝わらない。


それが何よりも苦しくて感情がぐちゃぐちゃになってどうにかなってしまいそうだ。



今は混乱で冷静さを失っている。


だから真っ直ぐに芹沢くんの言葉を受け入れる力を持ち合わせていない。

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