第94話

「芹沢くん?」


「……本気で言ってんの?」


「まだ何も言ってませんけど!」


「あー、待って」




その表情に見え隠れするのは驚きと困惑。


まだその2文字を伝える時じゃないと思ってた。




「私、芹沢くんと恋愛がしたいの」




でも私の口は後のことなんて全く考えずに動いていた。


言わないと伝わらない。


見て見ぬフリをしないで。




「俺は、花房が俺以外の誰かのことを好きになって、恋愛に夢中になるのを応援しようと思ってた」




放たれた一言に視界が一瞬にして真っ暗になる。


それは遠回しに私を彼女にはしないと言っているように聞こえた。



私はちゃんと芹沢くんに好きになってもらいたくて頑張ってたのにそんな風に思われてたんだ。


芹沢くんの言葉がグサリと胸を突き刺す。




「私の頑張り次第で芹沢くんの心を動かせるって思ってた」




みるみる内に視界がぼやけてくる。

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