第93話
「もうすぐ夏休み来るけど」
「見つけたよ」
「……そっか」
「私の好きな人、誰かわかる?」
隣を歩いていた芹沢くんはピタリと止まる。
数歩先を歩いてしまった私は斜め後ろに振り返って、問いかけの返事を待つ。
だけど一向に返って来ない。
「そんなに悩む?」
「……花房と話すようにはなったけど、全部を知るほど仲良くないだろ」
バッサリと言い切られてしまう。
これまで私が頑張ってきた努力の成果は一体どこにいったんだろうか。
一気に気分が落ち込み、悲しくなる。
目に見えてわかるアプローチをしてきたつもりなんだけどなぁ。
「ねぇ、」
「何だよ」
「気づいてて知らないフリ、してないよね?」
一縷の望みでカマをかけただけなのに、その瞳が揺れ動いて動揺を見せた。
そして視線が逸らされる。
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