第91話
「でもそれは芹沢くんが優しいからだと思うよ」
「…は?」
「私だったら“意味わかんない!!”ってなって絶対連絡も取らないもん。ちゃんと最後まで話を聞いてくれる芹沢くんはちゃんと優しいし、良い人だよ」
私の言葉がどれだけ響くかなんてわからない。
だけどありのままを、思ってること全部ぶつけた。
「大丈夫!」
にっこり笑えば、その茶色の瞳が大きく開かれる。
いつもは無表情なのに今日は悲しそうな顔をずっとしているから、元気づけようと笑顔を見せた。
「……慰めて」
私よりも背の高い芹沢くんの頭が下がってくる。
綺麗な顔が至近距離にきたことにドキドキしながらも、そっと手を伸ばす。
「えーっと、よしよし?」
太陽に反射してより明るく見えるその髪をわしゃわしゃと撫でてみる。
大人しく目を閉じてそれを受け入れる芹沢くんは大型犬みたいだ。
本音を織り交ぜて、弱さを見せてくれた。
それが何より私にとって嬉しくて頬が緩んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます