第80話

怖かった。


仲宗根くんが来てなかったら自力じゃどうにも出来なかっただろうし。



でも私もいざ芹沢くんに告白するってなるとあんな風になったりするのかな。


あの人だって無我夢中って感じだったし、好きになってもらおうと必死になるのはわかる。


そりゃあ限度ってものもあるけどさ。



1人でぐるぐると考え込んでいれば、



「なんか悩みでもあるの?」




そんな私を見ていた仲宗根くんが声をかけてくる。




「…えっと」


「どうせ崇音のことでしょ。花房さんってわかりやすいから」


「私、一言も芹沢くんのこと言ってないのになんでわかるの!?」


「花房さんが崇音に懐いてるの見てるからね」


「私は犬じゃないんだけど」




キラキラした王子様から黒い部分が見え隠れしている。




「仲宗根くんに1つ聞きたいことがあるんだけど、いい?」




胸にあるモヤモヤを消してしまいたくて、つい縋った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る