第63話

何度も味見はしたし、完璧なはずなんだけどいざ食べてもらうってなると緊張してくる。


芹沢くんの好きな食べ物はシュークリームだったから甘いものは好きなはず。




「…どう?」


「ん、美味しい」




パクパクと食べてくれるから本当に美味しいと思ってくれてるんだとわかる。




「お菓子作んの得意?」


「うん。甘いものが好きだから自分でも作れるようになりたいと思って、中学校の頃から休日によく作ってるの」


「俺は買って食べるから作れるの凄いなって思った」




無言で頬張り続ける芹沢くんはリスみたいで可愛い。


よっぽどお腹が空いていたのか、それとも私の作ったものを気に入ってくれたのかわからないけど、ぺろりと食べ終えてしまう。




「ご馳走様」


「またバレンタインの時にも作るから楽しみにしてて!」


「お返し面倒だからいいよ」


「あげたいだけだから!」


「まぁ、そう言うなら勝手にすれば」




強引過ぎたかなと思ったけど甘いもの好き同士として、芹沢くんが少し嬉しそうなのは気のせいじゃない。




「勝手にする!」




またシュークリームのレシピをバレンタインまでに探しておかないと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る