第60話
このまま真っ直ぐ帰るのもなんだか寂しいと思いながらも自分の手は鞄を持ち上げる。
テストは昼過ぎに終わったからか、クラスメイトもすぐに帰ってしまった。だからすでに教室に残っている人は私以外いない。
「おっしゃあっ!!これで、赤点は免れたぜ!!」
廊下に出ると隣のクラスから嬉しそうな叫び声が聞こえてくる。
教室の前を通る途中に扉からひょこっと顔を出して中を覗いてみると、ハッチーがドヤ顔でガッツポーズをしているところだった。
「まだ点数はわからないから安心は出来ないだろ」
「俺は結構不安かも。崇音に教えてもらったとこはちゃんと出来たけどさ」
ハッチーとは対照的に不安そうにしているのは金髪頭の雪くんこと天ケ谷雪人だ。
「あっ、ハナコ!!もう帰んのか!?」
「うん、1人で虚しく帰ろうかと」
「そっか。俺ちゃんと赤点回避できた気がすんの!」
私を見つけて近寄って来たハッチーは歯を見せてにっこりと笑う。
頰に出来るエクボがチャームポイントだって自分で言ってた気がする。
「赤点になったら怒られるからそんなに必死だったの?」
「や、赤点取ったら球技大会出るの禁止って担任から脅されてたんだよ!」
「あらら」
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