ハートを射抜くには

第59話

「ふぅ、やっとテストも終わったし、明日からは球技大会に向けて頑張らないとね」




3日間もあったテストが終わり、力が抜けて机の上にだらんと伏せる。


そんな私を見て三奈は目尻を下げて微笑む。




「華子ちゃん、テスト期間中は全然隣のクラス行ってなかったもんね」


「そうなの!」




テスト前に隣に顔を出しただけで、ハッチーに“お前は良くても俺らは赤点取るかもしれないから来るな”って追い返されたし。


というかあの頭に銃を突きつけられたみたいな顔はなにだったんだろ?


ハッチーだけじゃなくて他の皆もそうだった。


でも、芹沢くんは割と余裕そうな顔してたけど。




「帰りにカフェ寄って行かないー?」


「あっ、ごめん。私、今日仲宗根くんとの約束があって」


「……わお」




振られてしまった。


テスト終わりの疲れた脳みそには甘いもの、と思ったのに残念だ。


また行こうね、と声をかけてそのまま教室を出て行った三奈の背中を見送った。


三奈を仲宗根くんに取られたことにがっかりしつつ、スマホを見つめながらぼんやりとする。

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