第56話

「なら俺はこれから花房の良いところ見つけるようにするわ」


「芹沢くんと別のクラスで会う機会ないのに?」


「明日も今日みたいに来るんだろ」


「もちろん!」




芹沢くんが嫌じゃなければ、だけど。


指と指を絡ませて今朝のことを思い出す。


芹沢くんはどちらかと言うと私が教室にいることが嫌そうに見えた。




「あいつら普通に喜んでたからまた遊んでやってよ」


「うん。でも、芹沢くんは私がいてもいいの?」


「あー、あれは、あんなにあいつらと仲良くなってるとは思わなかっただけ。あーいう派手な髪とかだと見た目だけで判断されがちだから余計に」




窺うように見上げると、気にしなくていいと言われる。




「言っとくけど、女子1人であいつらの中に入っていくのはかなり勇敢だからな。あ、これって良いところか、もしかして」


「思いついたように付け足すのダメ!明らかに良いところじゃない言い方でしょ!」


「警戒心が薄過ぎんだろ」




ほら、また呆れた顔をする。

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