第48話

「お前は余計なことを言うな」


「でも花房さんは聞きたそうだから」


「…へ?あ、うん」




いきなり話を振られて理解せずに仲宗根くんの圧に負けて頷いた。




「これを返して欲しかったら仲宗根の言うことは聞き流せ」


「わかった!」




プロフは返してもらわないと困るから、仲宗根くんから芹沢くんに寝返った。


なんか私手懐けられてる?


やり取りを見ていた仲宗根くんはまたクスクスと笑っている。というか、芹沢くんを見て笑ってるな、あれは。


戻ってきたプロフをまた取られないように鞄の中にしまい込む。




「傘なら持ってるよ。三奈は俺の傘に入ってく?」


「え、良いの?」


「家まで送ってあげるよ」




頰を赤らめる三奈の頭にポンと手を乗せる仲宗根くん。


まるで少女漫画みたいな場面にうっとりとする。


本当にこういう人がいるんだと感心していれば、隣にいたはずの芹沢くんがいつの間にか黒の傘を差して私を見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る