第46話

バスの時間までは余裕があるけど、傘がないとバス停に着く頃にはびしょ濡れになってしまう。


私はまだバス停まで走ればなんとかなるけど、三奈は歩きだから傘がないと困る。せめて、三奈のための傘があれば良いんだけど。


キョロキョロと辺りを見渡してみても知り合いはいなそうだ。




「どうしよっか」


「なんか困ってる?」


「傘がなくて…っ!?」




急に背後から声がかけられ、驚きのあまり、勢いよく後ずさる。


そのせいで近くにあった柱に後頭部をぶつけた。


い、痛い。




「なんだ、芹沢くんか。びっくりした」




片手で頭を押さえながらそう呟くと、友達を引き連れた芹沢くんは奇妙なものを見るような目で私を見てきた。


さっきまで話題にしていた人が突然現れたら誰だって驚くでしょうに。




「ははっ、ハナコの行動いちいち面白いよな!」


「こら!笑うな!あと、私はハナコじゃない!」




取り敢えずケラケラ笑ってるハッチーには何か天罰が下って欲しい。

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