第44話
そのまま私の手を離れていき、持ち上げられる。
「名前は花房華子。8月31日生まれの乙女座。血液型はA型。好きな食べ物は甘いもの全般。趣味はカフェ巡り。最近のマイブームは、」
「ちょ、読み上げないで!」
「これ俺にくれたんだろ?」
「…う、そうだけど」
大きい声で読み上げなくてもいいじゃんか。
私のことを知って欲しくて小学生以来使っていなかったプロフ帳を引っ張り出してきて書いた。
子供っぽいことをしてるってことは自分でも自覚してる。
「この白紙のやつは俺が書くやつ?」
「書いてくれるの!?」
「めんどい」
「そこをなんとか!」
好きなタイプを書く欄だってあるし、いろんなこと知りたいから書いて欲しい。
芹沢くんからのイェスという返事を聞く前に予鈴が鳴ってしまう。
廊下はギリギリに登校してくる生徒の足音で騒がしくなる。
「また放課後に受け取りに来るね!」
「はいはい」
強引に話を切り上げると、早く帰れと促された。
面倒くはがっても結局は頷いてくれる。そんなとこが優しいんだよね。
ニヤけるのをなんとか堪えながらブンブンと手を振って、自分の教室に戻った。
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