第43話
芹沢くんは私が座っている席の後ろに着くと頬杖をつく。
程よい日が差す窓際の席でいると髪色が綺麗に映える。
黒髪が想像出来ないくらいにそのミルクティー色がよく似合う。
この姿を毎日拝めるクラスメイトが切実に羨ましい。
前の席なら配布物を回す時に顔が見れるし、隣の席ならペア活動で話せるし、後ろの席ならずっと背中を見つめれる。
「あ、そうだ、これを渡そうと思ってたの!」
「……何それ」
椅子を反転させて向き合い、机の上に置いていた紙を1枚手渡す。
淡い黄色に白い花の模様、蜂のイラストが描かれている。
そこには私の丸い字が並んでいる。
いわゆるプロフィールカードというやつだ。
「私のトリセツです」
「要らねー」
「昨日一生懸命つくったスライドショーも要らない!?」
「………何分?」
「ご、5分」
「遠慮しとく」
「え、見てくれるんじゃないの?今のはそう言う顔だったんじゃん!」
「どういう顔だよ」
せっかく作ってきたのにな。
しょぼんとしながらカードを引っ込めようとすれば、骨張った手がそれを掴んだ。
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