第37話
誰かに優しくしてもらうと、自分も人に優しくしようって思える。
人は良くも悪くも自分が誰かにされたことを真似する。それが良いことなら優しい輪が広がっていく。
「仲良くなりたいと思ったのはそんな芹沢くんだからだよ」
「……俺のこと褒めても何も出ないから」
「芹沢くん、照れてる?」
「黙れ」
顔が見たくてぐいっと近寄ろうとすると、大きな手が伸びてきて私の視界を隠してしまう。
それが芹沢くんなりの照れ隠しらしい。
新たな一面が見れて思わずニヤけてしまえば、
「調子に乗るな」
冷たい言葉を浴びせられた。
手が引っ込むと元の表情に戻った芹沢くんがいて。
でも、その耳はまだ赤みを帯びていて笑いが溢れる。
「だから、」
「っ!?」
「そういうことばっか言ってると勘違いする男が出てくるから気をつけろって言ってんの」
わかる?と仕返しみたいに顔を近づけられ、間近に迫った瞳にただコクコクと頷いた。
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