第38話

でもこのままだと仲の良い友達止まりになってしまうかもしれない。




「…勘違い、して欲しい」




その可能性があることが怖くて、1歩足を踏み出した。


上手く目も合わせられずに放った言葉に芹沢くんがどんな反応をしたのかはわからない。



スカートの裾をぎゅっと握り締める。


手のひらに滲む汗。


近くで聞こえる話し声とは対照的に私と芹沢くんの間には音ひとつしない。


どんな返事が来るのか怖くて、自分の足を見つめるばかり。




「じゃあ、俺を本気にさせてくれるって捉えていいのかよ」




沈黙を破るように聞こえたのは淡々とした声だった。


この答はYESということなんだろうか。




「本気になってくれる?」


「それは花房次第」


「っ、芹沢くんに本気になってもらえるように頑張るから!!」




覚悟して欲しい。


無我夢中に全力で芹沢くんにこの気持ちをぶつけよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る