第36話

「花房が今日俺に名前を聞いてきたのって、俺と仲良くなりたいから?」


「うん!」


「あの初対面で仲良くなりたいって思えるようなことあったっけ」




どうやら芹沢くんは自分の良さに気づいてないらしい。


不思議そうに私を見て首を傾げている。


だから言葉にして伝えようと思った。




「人として魅力的だなって思ったの」




2文字の本音は言えないけどそれに似た言葉を並べる。


あんな風に助けられたら、慰められたら、誰だって恋に落ちてしまう。


芹沢くんにとっては自然と出た言葉なのかもしれないけどそれが私にとって響くものだった。




「まだ会ったばっかりだけど芹沢くんの良いところ見つけてるよ。怪我させちゃったのに優しく笑いかけてくれるところ」


「………」


「それにね、今日は2つ見つけたの!緊張してる私に気遣って2人きりにしてくれたこと、ジュースを交換してくれたこと!」


「そういうことする奴他にもいるけどな」


「でも私は嬉しかった!」

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