第22話
「ちなみに俺、」
私と同じ高さに目線を合わせるようにその人は長い足を折りたたんで目の前にしゃがみ込む。
そして凛とした眼差しで私を見て、口を開く。
何を告げられるかなんてことよりも、こんな至近距離で男子を見るなんて初めてだ、なんて違うことに気が取られる。
涼しげな目元に男らしいシャープな輪郭。
ミルクベージュの髪に隠れた耳を飾る派手なピアス。
「鈍臭い女子、嫌いじゃない」
「…………え?」
それって、つまり。
んん?
どういうことだ?
頭が追いつかず、目も口も開けたままで停止する。
脳内で再生を繰り返しても疑問は解けない。
そして次第にその“鈍臭い女子”が誰のことを指しているのか鮮明になってきた。
鈍臭い=私ってこと、だよね?
どうしてそんなことをわざわざ伝えてくるのか、彼の真意はわからない。
私を揶揄っているのかもしれない。冗談だと捉えた私に恋愛を教えて欲しいという言葉を実現させるためのものなのかもしれない。
彼の一言に裏があるんじゃないかと疑ってしまう。
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