第21話

「それって優先して大事にしたくなるほどの恋愛をしてないからなんじゃない?」




だって私もそうだもん。


そもそも熱中するような恋に落ちていない。


例え最後がどうであったとしても、大抵の人は本気の恋が見つかれば相手のことを真剣に考えると思う。



多分、私の言葉は自分にも言い聞かせてる部分はある。




「じゃあさ、」




何かを考え込むようにして黙っていたその人はゆっくりとこちらに向かって歩き出す。


やけにその足音が大きく聞こえるのは、今が授業中だからかもしれない。私達以外、誰1人として廊下や階段にはいない。


高校に入って初めてこんな背徳感を味わった。




「俺にその恋愛直接教えてくんない?」


「……へっ?や、いきなり、言われても!」




きゅ、急に何を言い出すの!?


頼む相手絶対に間違えてるってば!



驚きを隠せずに首をブンブン振れば、




「ふ、なんてな」




すっと視線が逸らされた。


今朝と同じ綺麗な横顔がまた見える。




「冗談とは思えない声のトーンで言うのはやめてください」




口を尖らせてジトリと睨めば、座り込んでいる私を見下ろす瞳が悪戯に揺れた。

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