第20話

「あ、てか、さっきの質問の答え教えて」




思い出したかのように真面目な顔つきになり、真っ直ぐに私と向き合う。


黒に近い茶色の瞳が私を映して揺らめく。



さっきの質問って、あの私がつい言っちゃった言葉の意味を答えろってこと?


忘れてくれてるのかと思ったのに違うのか。


知らんぷりしたくてもこの人には恩があるから出来そうになくて、おずおずと口を開いた。




「…えっと、あなたがすごく諦めたこと言ってるから勿体ないなぁと思って、つい口に出しちゃったの」


「実際諦めてる」


「なんで!?」




モテそうなのに、という言葉をぐっと飲み込んだ。




「俺にとって恋愛は優先価値が低いし、何より相手を大事にできないと思う」




問題があるのは自分だと告げる。



どこかのバスケ漫画の名言がふと頭の中に浮かぶ。


諦めたら本当にそこで終わってしまう。

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