第18話
今日は踏んだり蹴ったりの日だ。
重い荷物を運び、階段から落ちて、人に怪我をさせて、情けない。
膝の上で握り締めた手を見つめればじわじわと込み上げてくる涙。そのせいで視界がぼやけ始める。
あ、だめ。
何度も瞬きを繰り返してそれを阻止しようとした。
いつものポジティブな私どこ行った?
目に力を入れて堪えていれば、
「落ち着けって。泣くことじゃないだろ」
それに気づいたその人はぎょっとした顔で私を見た。
「だって、」
「初対面で泣かれると困る」
「っ、ごめんなさい」
そうだよね。
泣くんじゃなくて謝罪の気持ちを受け取ってもらわないと意味がない。
「ちゃんと怪我させた責任取るからっ!」
「いや、いらん」
「…そ、そうですか」
怪我をさせてしまった代償に何か出来ればと思ったのに即断られてしまった。
下アングルからでも全然不細工に見えないのはどうしてなんだろうか、と鼻を啜りながらそんなことを思ってしまう。
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