第17話
「っ、大丈夫か?」
傍で突っ立っていた仲宗根くんがすぐさま駆け寄って来て心配そうに私達を見る。
「……ほんと、びっくりした。花房さんが落ちて、持ってた段ボールが直撃した挙句、花房さんも降ってきてダブルパンチ食らったね」
「冷静に解説すんな」
「あ、ごめん。大丈夫、立てそ?」
「…ああ」
話しながら立ち上がり、右手に痛みを感じるのか握っては広げている。
突然の出来事にへたりと腰の抜けた私は見ていることしか出来ず、申し訳なさでいっぱいになる。
「あ、もうそんな時間か」
校舎中にチャイムの音が響き、ハッとする。
次の授業で使うのにまだ運べてないんだった。
「俺この段ボール持って行くね。ウチのクラスの分なんでしょ?」
仲宗根くんは床に散らばったファイルを集めて段ボールに入れ終えるとそのまま軽々と持ち上げてにっこりと笑う。
流石、学園が誇るだけある。
「あ、ありがとう!」
「ううん。2人ともちゃんと保健室行きなよ。先生には言っとくから」
そう言って立ち去ってしまい、残された初対面同士の間にはもちろん沈黙が流れた。
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