第15話

「何だよ、その“してみないとわからない”って」


「や、その、えーっと」



人の会話に悪気はなくても入り込んでしまった私を不審に思ったのか視線がかなり鋭い。


目を丸くしている仲宗根くんはまだ可愛い方だと思えてくる。


髪色と違って雰囲気は甘くないらしい。



うわぁ、なんで私口に出しちゃったの!


黙ってればすれ違うだけで終わったかもしれないのに、と頭を抱えたくなった。



怖気づいて黙り込めば、




「聞いてんの?」


「…っ、」




その人は首を傾げて片足を一段目にかけ、私のところまで上って来ようとする。



こうなったら後悔しても、もう遅い。


起こってしまったことをどう対処するかが優先だ。



私は足を踏み出した。




「おい、バカ!!」


「っ!?」




目の前で血相を変えて叫ぶ顔が見えて、何が起きたのか一瞬にしてわからなくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る