第13話

「もうすぐ夏休みだけど、どうすんの?」


「押せるとこまで押すつもり」


「へぇ、来る者拒まずの仲宗根が、ねぇ」


「……その顔うざいからやめろ」




階段の下から聞こえてきた話し声。


“仲宗根”というワードに三奈の顔が思い浮かぶ。


一体、何の話だろう?


重いから早く運んでしまいたいのに、気になってつい階段の踊り場で足を止めてしまう。




「お前こそ、そういう話一切耳にしないけどないわけ?」


「あぁ、面倒だから今はいい」


「何だよそれ」




段々と話し声は階段を上る音と共に近づいてくる。


どうやらその人達は5階までやって来るみたいだ。




「夢中になれるほどの恋なんて俺には訪れない気がする。てか、望んでもない」




まるで諦めたように言うから。


今からだと意気込んでいる私が馬鹿みたいに思えてくる。




「そんなのしてみないと、わからないと思うけどな」




無意識にポツリと本音が溢れ落ちた。

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