第12話

1階にある自分の教室から階段を上って、辿り着いた5階の準備室。


まだ10代と言えども5階まで上るのは相当きつい。


肩を揺らして息を整えながら準備室の扉を開けた。



中には棚がいっぱいで通るので精一杯の狭さ。大学受験のための赤本や何が入っているのかわからないファイルが沢山棚に並べられている。


奥に進めば明らかに新しい段ボールがいくつか長机の上に置かれていて、近寄ってその内の1つの中身を覗いてみた。


そこには「1年5組ファイル」と私のクラスの名前が書かれたメモがあり、目的のものだと確信して両手で底を持ち上げる。




「……重っ」




え、普通に重いんだけど。


冷静になって1度長机に段ボールを戻す。


ジンジンとする手のひらは真っ赤になっていて、これ運べるのかなと不安になる。


先生もしかして私のことゴリラか何かと思って頼んだ?


持っていけない重さじゃないけど多分明日には筋肉痛が襲いかかってくる、多分。



意味のない段ボールとの睨めっこをした後、覚悟を決めてもう1度段ボールを持ち上げた。




「くっ、」




顔に纏わりつく髪を払い除けたい気持ちを抑えて準備室を出てゆっくりと階段を下っていく。


大きい段ボールのせいで前が見えず、自分の足元見えないから怖すぎる。

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