第7話

明らかにキラキラした集団。


それが彼らに対する私の印象で、三奈が見惚れてしまうのにも頷ける。



もちろんそれは三奈だけじゃなく、他の女子達も同じで皆ぼーっと心を奪われたみたいにその人に釘付けになっている。


そりゃあ、あれだけ芸能人みたいな男がいたらこうなるのも仕方ない。



ただ私は仲宗根くんに興味が湧かず、三奈とは同じ気持ちを分かち合えない。


いや、普通にタイプじゃないだけか。



予鈴が鳴るまであと5分。


スマホで時間を確認し顔を上げてもなお黄色い歓声は聞こえてくる。隣にいる三奈は声を上げるわけでもなく、見つめているだけ。


その横顔は謂わゆる恋する乙女ってことに本人は気づいていないらしい。


幸せなひと時を奪うのは申し訳ないけど、遅刻にはなりたくない。



でもこんなに夢中になれるものがあるって羨ましいな。


好きな人と学校で会えて見つめて、恋して。



私もせっかく学校に来てるんだから誰かと出会いたい。高校生活誰かの恋を見て終わるだけじゃつまらないから。


まぁ今のところ、全く恋の兆しは見えないんだけどね。




「!」




釣られる形で仲宗根くんを見ているとなぜかその隣に立っている友人の1人と目が合った。


集団の中でも一際目立つ甘そうなミルクティー色の髪のその人は私をじっと見つめて、そして目を逸らす。



たまたま視線が交わった。


それ以上でもそれ以下でもない些細な出来事。


無意識に止めていた呼吸を取り戻し、深く息を吸う。




「行こ」


「あ、うん!」




私は何事もなかったかのように突っ立っている三奈の手を引いて教室に向かった。

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