第6話

学校に近づくに連れて段々と車内の人数も増えていく。同じ制服を着た人もちらほらと見える。


停止したバスから降りてみれば、歩いている人も自転車に乗っている人も汗を流しながら暑さに耐えている。


青々とした緑の並木道。


葉の間から差し込む光は一段と強い。


辺りは、まさに夏一色。




「おはよう、華子かこちゃん!」




バス停から正門まで歩いていると弾んだ声が聞こえてきた。その声のした方に振り向くと、白い肌に熱を集めて走り寄って来る三奈の姿がそこにあった。




「おはよ!」


「あ、華子ちゃんも夏服にしたんだね」


「気温を上がってきてるし、半袖が丁度いいかも」


「日焼け止め塗っても肌がジリジリするの嫌だなぁ」




そう言って摩る腕は既に肌が赤くなっている。


これは日焼けしたら肌が痛くなるタイプだ。




「あと約1か月学校来れば、終業式があって夏休みが来るからそれまでの辛抱だよね」


「…あっ」




並んで歩き出したのも束の間で、三奈が何かを見つけて目を見開き、その後すぐに黙り込む。


食い入るように見つめているのは“学園が誇る最高の美男子”こと三奈の推しである仲宗根くんだ。


同じ制服を着ているはずなのにすらりとしたスタイルは他とは違う雰囲気を放ち、太陽の光で柔らかく煌めきを纏う茶髪。


そして、仲宗根くんを中心にして数人が集まって楽しそうに会話をしている。

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