第5話
テーブルに置かれた時計を見れば、8時10分が来ようとしていた。
友達とお揃いで買った羊のストラップが付いたスクールバッグを持ってソファーから立ち上がる。
「そろそろ行かないと。じゃあね、お姉ちゃん」
「行ってらっしゃい〜」
お姉ちゃんに見送られ、白のスニーカーを履いて玄関の扉を開けて外に出た。すると、案の定、肌を刺すような太陽の光が飛び込んでくる。
これは日焼け止めをこまめに塗り直さないとやばいかも。
歩き出せば地面と靴裏が当たり、鳴り響く靴音。
中学の時は自転車で登校していたけど高校からはバスで通学している。家の近くにある公園前にバス停があって、そこから乗れば15分くらいで学校に着く。
バス停でスマホを見ながら待っていれば1分も経たないうちに向こう側の曲がり角からバスの顔が現れる。
プシューと乗車口が開き、乗り込めば冷房の効いたひんやりとした車内に出迎えられる。
冷房がある所は半袖だとほんの少し肌寒い。
「ご乗車ありがとうございます。このバスは南幼稚園経由、稲咲高校行きです」
運転手が心地よい低音を奏で、発車する。
いつも通り、1人席に腰掛けて揺れを感じながら外の景色を眺める。
バス通学のいいところは体力を削られないところ、だ。
それに私の利用しているバス停は始発に近いところだから、乗客も少ない。吊り革を掴んで立つこともないから割と楽だ。
学校全体の割合で言えば電車とバス、そして自転車がそれぞれ3割くらい。残り1割は車だと思う。
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