花筐に翡翠を封印する吠瑠璃の法典を拾った

 私が此処に示すは真実

 女神は人形と絵本を愛す

 翡翠の蛇は埋伏の毒

 封印された言の葉は最後に見つかる

 吠え猛る声は瑠璃色の海を拒む

 法典は何も意味を為さない

 故に君にこれを託す

 私はそこで時を待つだけ




【花筐と揶揄された玩具箱】


  花は形見に種子を遺し

  希望の大地に災厄の根を下ろす

  鉄鎖の錠に鍵はなく

  炎を灯す影はなく

  玩具は歪な戯曲を綴る


[魂が求めた11番目の詩]




【翡翠を盗んだ商人】


  その衝動の意味を知らず

  輝石の中の蛇は囁く

  受け継いではならぬ文明

  繰り返してはならぬ時代

  好奇心は猜疑心に変貌する


[彼が作った5番目の詩]




【封印されることのない思想】


  生きることを望みたくなる場所はなく

  死することを拒みたくなる事象はなく

  世界を形作る言の葉を並べ替え

  畏怖なる旅路に遺風を吹かす

  それは利己の名を燃やす得手


[罪が遺した38番目の詩]




【吠瑠璃の弓が導く神話】


  偽りの空を憂うる神子と

  弁舌の勇は放浪の民

  始原より出でし彼の弓は

  紅き虚栄の天空を射る

  天帝を討つ神殺しの法


[螺旋が示した28番目の詩]




【宝典に上書きされた伝言】


  あなたの謳う世界は愛しく

  あなたを拒む世界は醜く

  あなたと歩む世界は尊く

  あなたが憎む世界は要らない

  あなたはこの世界を望んでくれますか


[余話が歌った45番目の詩]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る