第12話



 「時々、この町に迷い込む人がいるんだ。キミのようにね」


 「…迷い…込む?」


 「周りを見てみなよ?誰もいないでしょ?それはこの「世界」が、まだ存在していないからなんだ」



 言ってる意味がわからなかった。


 第一、どうして猫が喋ってるのかも、うまく整理できていないままだった。



 「…あの、キミは?」


 「ボク?ボクはね、“案内人”だよ」



 …どういう



 町は静まり返っている。


 誰かの足音も、川のせせらぎも、鳥の声ですら聞こえない。


 だけど空は動いてた。


 真っ青な、それでいて大きな雲が漂う空。


 異様な光景には違いなかった。


 今まで見たこともないような町並みに、現実とは思えないほどの静けさ。


 何が起こってるのかわからなかった。


 まるで、夢の中にでもいるかのような——


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