第8話




 チャリンッ




 軽やかな鈴の音。


 ハッとなって振り返った。


 見慣れない道の真ん中には、1匹の猫が。



 「やあ」



 “それ”が音となって耳に届いた時、咄嗟に周りを確認した。


 誰?


 そう思ったのも束の間だった。


 目の前の「猫」が近づいてきては、私を見上げた。



 「キミは何しにここへ?」




 ………………………………………


 ………………………


 ……え?


 


 …猫が…喋った……?




 そんなはずがないと思い、もう一度見渡す。


 だけど、誰もいなかった。


 声は女性の声に近かった。


 というより、女の子の声に近かった。


 周りには人影も、車の音もなかった。


 猫はじっと私を見つめている。



 …まさか…



 恐る恐る、声をかけた。


 

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