第3話



 先日、ニュースがあった。


 10年前に起きた、飛行機事故の特集だった。


 羽田空港からアメリカ行きの国際便。


 開催地のロサンゼルスへと行くために、全国の高校で選ばれた選りすぐりの球児たちが、U-18の選手団として空港を飛び立った日のことだった。


 当時のことを、今でも鮮明に覚えてる。


 最初にそのニュースを目にしたのは、目が覚めてすぐのことだった。


 学校に行く前につけたテレビの先で、燃え盛る飛行機の機体があった。


 ロサンゼルス国際空港からの中継だった。


 どのチャンネルも、そのニュースばかりだった。



 「もしもし、沙苗?」



 ニュース画面に釘付けになっていると、スマホが急に鳴った。


 クラスの友達からだった。



 「ニュース見た…?」


 「見てるけど?」


 「あの飛行機、晴翔君が乗ってるん…だよね?」



 最初、友達が何を言ってるのかわからなかった。


 冴えない頭の中で、何が起こってるのかを整理しようとする。


 だけど、理解できなかった。


 すぐには。


 “うまく聞き取れなかった”って言った方が、いいかもしれない。


 電話越しで聞こえる声は震えてて、すごく慌ててた。


 それがなんでなのかわからなかった。


 テレビ画面に映る、「U-18 | 野球日本代表」の文字を見るまでは。





 

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