第10話 再び始まる日々

球技大会の後、僕は沢山の人と喋った。


あの球技大会で僕はMVPになりその後、話しを聞いたバレー部の先輩や顧問の先生に部活の勧誘をされたが僕は全て断った。その後でも僕はクラスの人から沢山話しかけられていた。

しかしそれを好まない人達がいた。



〜昼休み〜


「ちょっと来い」


僕は斎藤遊真達のグループに久しぶりに呼ばれた。


そろそろ呼ばれる頃だとは思っていた。

あの時、後藤さんが助けてくれてから絡まれる事は無かったがこないだの球技大会で彼らは僕たちに負けた。僕はずっと彼らの目線を気にしていたため、いつ声をかけられてもおかしくないとは思っていた。


「少し峰田と話しがあるから良いよな」


斎藤遊真は僕と喋っていた人に言葉の圧力をかけて僕を引っ張っていった。


クラスの皆も分かっていると思う。

僕がこれからイジメられる事を。


球技大会の後も今も喋っていた石井くんも福田くんも何も言わないまま僕が呼ばれていく様をみていた。


結局誰も助けてはくれない。うすうす分かっていた。


僕に関われば巻き添えを喰らう。

そしたらどうするか「いざとなったら離れる」。言葉にしなくてもクラスの人たちは同じ事を考えていた。


ただ一人を除いて。


「まって」


そう言って呼び止めたのは佐藤さんだった。


僕は少し嬉しかったが、佐藤さんが僕と関わりがあることが少しでも分かると僕の身の方が危険なのだ。


「どうした?凪沙」


斎藤遊真が反応する。


佐藤さんは不機嫌な顔をした。


「『凪沙』って呼ばないでって言ったよね?」

「辞めてくれる?」

「こないだも言ったけどあなたとは付き合う気はないから今後も名前で呼ばないで」


この時、クラスにいた人たちに『斎藤遊真が佐藤さんに告白し振られた』ということがバレてしまった。斎藤遊真がクラスの人達から注目される。


「悪いな、そしたら何のようだ?佐藤さん」


斎藤遊真はクラスの人たちに『振られた』と言う事がバレてしまい、恥ずかしくなりとてもイライラしていた。


「私達先生に呼ばれているの」


あれ?先生に呼ばれていたっけ?僕は今日の出来事を思い返していた。


「そうかそしたら先生には峰田くんはいけませんって言っといて」


「わかったわ」


どうやら彼女は僕を助けてはくれないらしい。


「先生には峰田くんは斎藤くん達に呼ばれてどこかに行ったので来れそうにありませんって伝えとく」


それを聞いた斎藤遊真は舌打ちをして僕を投げ飛ばし、どこかへ行ってしまった。


「行こっか」


そう言われて、僕は佐藤さんについて行った。



〜準備室にて〜


「先生は?」


僕が尋ねると彼女は呆れた顔で僕を見ていた。


「先生は来ない」


彼女は僕を庇うために嘘をついてくれたのだ。


「ありがとう」


僕等はお昼休憩が終わるまで準備室に隠れる事にした。



〜放課後〜


僕はバイトに向かうため帰る準備をしていた時、斎藤遊真たちに何も言われないまま校舎裏

に連れて来られていた。


「お前調子に乗るなよ」


そう言われ殴られる。


斎藤遊真はとてもイライラしているようだった。


「さっきも凪沙に助けてもらったからって調子に乗りやがって」


僕は調子に乗っているつもりはなかったが、斎藤遊真の目にはそう映っていたみたいだ。

僕は久々に斎藤遊真たちから殴られた。何回も。


あの時、佐藤さんが止めなかったら...。そう思ったが彼女は彼女なりの優しさで僕を助けてくれたので佐藤さんのせいにはしない。


痛かった。

でも僕は我慢するしか無かった。僕が彼らに勝てるほどの力はないから。


「そろそろバイトにいかないと行けない」


僕がそう言うと、彼らの腕や足が止まった。


「お前、今日もバイトか」

「お前わかってるよな」


わかってるこの事は後藤さんにはいわない。言えばイジメはもっとエスカレートするから。


「分かっている」


それだけ言うと、彼らは帰っていった。



僕はあまり人に見られないようにバイトに向かった。


特に佐藤さんには見つからないように。


彼女は優しいから僕をかばってくれるが僕は彼女には迷惑をかけたくないと思った。


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