8.信じる気持ち
雨が降り出し、雷も鳴っている。オリビアは、エディの夕食を地下牢へ運びに来た。
エディはぼーっと何かを見つめている。
オリビアは声をかける。
エディは聞こえているが、無視をする。
オリビアは持ってきた夕食をエディの近くに置くが、エディは見向きもせず動かなかった。
オリビアはこう言った。
「ねぇ、嘘ついたでしょ。」
エディは分かりきったことをもう一度言われるのが癪で、言葉を返す。
「はぁ…そうだっつってんだろ….。つーか、なんで話しかけてんだよ、こんな悪党によ。」
オリビアは呆れた顔でエディを見る。
「はぁ…。自分でそう言って、目立ちたいだけでしょ?」
エディは頭にきて、オリビアの胸ぐらを掴む。
「ぃた…。」
「たとえ女でも容赦しねぇからな?オレがどんだけ偽って生きて苦しまされてたかなんて、あんたには分かるわけねぇだろうよ!!あんた…出会った時からずっと気に食わねぇ…!上手くいってたはずなのによぉ、あんたがオレたちに近づいたせいで、全部水の泡だ!なんでいつも…こう、邪魔が入んだよ!…もう…後戻りは…!……っ…。」
オリビアはエディの言い分を静かに聞いていた。
エディはだんだん、掴む力が弱くなっていく。
「ごめん、言い方が悪かった。ただ、聞きたいだけなの。貴方の本当の気持ちを。」
オリビアはエディの肩に手を置き、真剣に見つめて言った。
「私、エディが命令したとは思えない。」
エディはその言葉に目を見開く。
「…なんで、そう思うんだ。」
「確かに、エディは海賊の船長かもしれないけど。貴方と一緒に旅をして、そんな卑劣なことをする人じゃないって思ったから。」
オリビアは過去、海賊の愚かで意地汚い姿を近くで見てきたからこそ、言えることであった。
「はっ…どうだろうな。今までのことは、全部嘘かもしれねぇぜ?」
「それを確かめるために来たの。本当の貴方を、私は信じたい。」
「……あんた。変わったな。」
「貴方たちが変えたんじゃなくて?」
エディは諦めたように言う。
「…チッ……ああ、しょーがねぇな…。」
オリビアは興味津々にエディの隣に座る。
少し沈黙が続いたあと、エディは話し始めた。
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