2.新しいお友達

無人島に着き、少女を安全な場所へ運んだ。


今晩を過ごすとなると、食べるものが必要になる。


ルイスとルナは食料集めに森の中へ

エディは島の周りを散策しつつ、薪を集めに行った。


「……ぅう……。」


少女は悪夢を見てうなされていた。


しばらくすると、少女は目を覚ました。


うっすら目を開け、ぼやけていた視界がはっきりすると


「おはよう。よく寝れた?」


「……ぅ………ん……?」


薪を集め終わったエディは、少女の隣で寝っ転がっていた。


「……ッ!?」


少女はエディを殴ったり蹴ったりして怒った。


一方、ルイスとルナは果物を収穫したり、海で魚を獲ったり、たくさん食料を集めていた。


ひと段落して、エディの元へ戻ると少女が目を覚ましたことにルイスは喜んだ。


「よかった!目が覚めたんだね!」


少女はルイスを怪しい目で見る。


「貴方誰。貴方も私を狙ってるの?」


「え?」


少女の言葉にルイスは困惑した。


目線の下には、ボロボロにやられたエディの姿が。


ルイスはエディが何か言ったんだなと察した。


「このど変態賊!」


殴りかかろうとする少女を必死に避けるルイス。


「ちょっと落ち着いて!弁解させてくれ!」


ルイスはエディに近づき、座る。


「エディ、何したの?」


「いやぁ、うなされてたからさ〜、そばにいてやろぉと思ってぇ!悪気はなかったって!」


「……他には?」


「…肌、もちもちだった。」


ルイスは呆れる。少女はその事実を理解するのに数秒時間がかかった。


「嫌ぁああああああああああ!!!!!!!!!」


島全体に、少女の悲鳴が響き渡る。



ルイスは少女を座らせて、一通り状況を説明する。


エディだけ立った状態で、薪を組みながら話を聞く。


「そうだったの。助けなくて良かったのに。でも、ありがとう。」


感謝されて、ルイスとエディは顔を見合って喜んだ。


「その、さっきはごめんね。エディお酒は好きなんだけど、酔うとすぐヘロヘロになっちゃうから…。悪く思わないであげて。」


「うん。」


少女はすんなり受け入れる。


エディはルイスの近くに寄り


「は〜ん。案外いい子じゃん?グハッ」


ツッコむように肘でお腹を殴るルイス。


「あ、そういえば自己紹介してなかったね。僕はルイス。エディとルナと一緒に色々な場所へ旅をしているんだ。君の名前は?」


「私は、オリビア。」


「オリビアちゃん。よろしくね。」


エディは火を起こしながら、オリビアに質問をした。


「そういや、あんた。船から落とされてたが、何かあったのか?」


オリビアは深刻な表情になり、ルイスはゆっくりでいいよと声をかける


少し沈黙が続くと、オリビアは過去にあった出来事を話してくれた 



私がまだ小さい頃のお話です。


私の国は広い海に囲まれた小さな王国です。自然豊かで、そこに住む人々は皆笑顔で溢れていました。


私も毎日が楽しくて、ずっとここにいたいと思っていました。


でも、あるクリスマスの夜に、城にいた王族全員が殺されてしまい、王国全体が炎に包まれました。


海賊が王国を乗っ取ったのです。


クリスマスが訪れる前から、海賊船は王国に侵入していたみたいで、王様でさえ海賊が忍び込んでいることに気づきませんでした。


生き残った国民は、海賊の命令に従うばかりで、逆らう者は次々に船から落とされます。


海賊のために働きますが、与えられるのは残飯か腐った植物だけ。毎日餓死や自ら命を絶とうとする人もいて、国民は限界を迎えていました。


私は、楽しかった頃のあの王国が好きだったから、どうしても今の暮らしが耐えられなくて、わざと命令に逆らいました。


本当は王国の法律で外は出ちゃいけないんだけど、王族のいない今じゃ関係ない気がして。


とりあえず逃げたかった。


きっと何かいい方法があるかもしれない、そう信じて。



ルイスとエディはオリビアの話を真剣に聞いていた。


「そんなことがあったんだね。話してくれて、ありがとう。」


「大変だったな。ま、とりあえずよぉ?腹が減ってんだろ?飯にしようぜ!」


エディは話を聞きながら、魚を焼いたり、果物で食べれそうな部分をくり抜いていた。


「エディもありがとう。一緒に食べよう。」


「…うん。」


オリビアは警戒心がありながらも、焼けた魚を一口食べた。


久しぶりにまともな食べ物を口に入れたことで、涙が溢れた。


「え!どうしたの?!もしかして、美味しくなかった?ちゃんと中まで焼けてなかったのかな〜?」


ルイスは困惑した。


「違うぞ、るぅちゃん。美味しくて感動してんだ。そりゃあ美味いだろうよ?オレが焼いた魚だからなぁ!」


「エディの焼いた魚、そんなに美味いんだね!僕も食べてみたいな!」


ルイスたちの会話がおかしくて、オリビアは少し笑った


ルイスはオリビアの笑顔が見れて、嬉しくなった。


食べたり話したりして、あっという間に夜になり、落ち着いた。


これからどうしようかと考えたが、もしかしたら今みたいに笑って過ごす時間が彼女には必要なんじゃないかとルイスは考える。


そしてルイスは、こう提案した。


「オリビアちゃん。良かったら、僕たちと一緒に旅をしてみない?この世界はとても広いし、美味しい食べ物だってたくさんある。君の探している"いい方法"も見つかるかもしれないよ。」


「ああ、いいんじゃねぇか?辛いことから目を逸らすことも、時には必要だぜ?」


「いいの?」


「うん。きっと君にとって、この旅が何かを変えるきっかけになるかもしれない。」


オリビアは人を信じることが怖かった。だが、ルイスの瞳は真っ直ぐとしていて、輝いていた。


その瞳の先にどんな未来が見えるのかと好奇心が湧き、オリビアは一緒に行くことを決めた。


「おしっ。まーずは、どっか国に行かねぇとな。オレら何も持ってねぇぜ?」


「そうだね!」


ルイスたちは、明日に備えて寝る準備をした


大きな葉っぱを毛布掛けに使ったり、枝や砂を山盛りにしてそれを枕にしたり。


ルイスたちは長年旅をしていれば、こういう環境に慣れてしまうだろうが

オリビアは当然慣れていなく、とても寝つきにくかった。

















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旅鳥のぼくら たいやき @kanu_sr8

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