5.刺客に罰を! 1

 ベルティナ王国の第二王子が足を組んでソファーに座っていた。

 顔は…整ってる方だろう…興味がないのでどうでも良い。

 呼んでないが現れて驚いてる第二王子だったが、すぐに余裕そうな表情に戻った。


「これはこれはアルベリク皇太子、お会いできて光栄だ。でも、悪いが君は呼んでない。呼んだのはユリアス王女だ。

 今この国に、あの嫌われ王女がいるのは知ってる。なんでも君の婚約者になるとか…」


「…何が言いたい」


「哀れな男だ。権力があっても…あんな王女が妻になるだなんて…可哀想だと思ったのさ」


「……」


「でも、が君と痕蛇アダ姫の婚約を無かった事に出来る手段を用意してくれたんだ!嬉しいだろ!あぁ!なんてお優しい方なんだ!見た目だけなく心まで美しいなんて!まさに女神だ!あぁ様!我らベルティナはなんて幸せなんだ!」


「(やっぱりミアね。わかってたけど、でも、こんな刺客を送ってきても無駄よ)」


 姿ユリアスは余裕そうだった。


 気持ち悪い…何が女神だ、アレは美の女神ユリーミアの名を与えられただけの悪魔な王女だ。

 ここで悪口合戦をしても無駄だ


 まだ様子を見よう。


「ところで、痕蛇アダ姫はまだ来ないのか?相変わらず無礼で気持ち悪い王女だな。

 しょうがない、アルベリク皇太子、被害者の君に先に見せてあげよう」


「見せる?何をだ?」


「フフッ…見たまえ、これを見たら落ち着いていられないはずだ」


「……これは…」


「フフッ…我が国がだだユリミア様の虜になってる国だと思ったら大間違いだ。

 それらは写真家に撮らせた…徹底的証拠さ」


「なんのだ…」


「決まってるだろ!痕蛇アダ姫のの証拠さ!」


「はぁ?…」


「っ(ちょっと笑わせないで!思わず吹き出しちゃいそうだったじゃない!)」


 アルベリクが第二王子から渡されたのは…見知らぬ男と腕を組んで歩くの写真だった。左に男性、右に女性という状態の写真


 女の顔はわからないが…顔のに鱗のようなモノが写ってる。横顔なので分かりにくいが…笑ってるようにも見える。

 アルベリクはジッと見るが…目だけで横を見た。

 姿を消してるユリアスが写真をガン見してるのだ…この姿に笑いそうになってしまうアルベリク。笑うな、バレるだろ


 しかも一枚で終わらず…全部で6枚の写真を見せてきた。どれも男が違う…が女は同じだった。女の衣服は乱れており、いたる所にアザがあった。

 また1枚だけ…完全にアウトな写真があった。


 しかしどれも横顔だったり、顔がはっきりしてない、顔のに鱗があるような写真ばかり…


 何も知らない第二王子は余裕そうだ…調子に乗って話した。



痕蛇アダ姫は頻繁に男と密会をしてるそうなんだ。しかも此処、かなりいかがわしいエリアで有名なんだ…いたるところで…フフッ失礼、これ以上は言えない。

 だが、間違いなく痕蛇アダ姫は不貞を犯し、傷物になってるのは確かだ。


【2週間前】かな、ユリミア様から手紙が届いたんだ…。

 姉がどうしてるか気になったから、騎士に情報を集めるよう頼んだのたが…返ってきたのはとんでもない情報だった。

 いかがわしい場所で何人もの男と密会してるとの事が書かれてた。

 場所は勿論ここ【】だ。


 だから探偵経験のある写真家に頼んで撮って来てもらったら…この6枚が撮れたとね…

 これに関しては…もう完全にアウトだ。十分証拠になる」


「……」

「(うわ…前に大人でアレな小説読んじゃった事があったけど…挿し絵こんな感じだったなぁ)」※16歳


 アルベリクの目が死んでる、明らかに捏造だとはわかった。

 恐らく女は雇われた娼婦だろう、お世辞にもユリアスは魅惑な身体をしてない。

 動きやすさを重視をする彼女にとって邪魔なモノがある…こんなモノはない。


 ましてや、この者達はユリアスが16歳とわかっててやってるのか?

 いや、恐らくただの【姉】と解釈したのだろう。

 ミアにしか興味がない国だ、ユリアスとミアが【双子】というのを忘れているのだろう。


 なら納得だ、この女は娼婦確定だ。どうみても大人の身体をしている。16歳の少女の身体ではない…浅はかだったな


 勝ちを確信してるようだが…負け確だ。

 まだ来ないのか?と言うように…扉をチラチラと見るが一向に現れないユリアスにイラついてるようだ。



「何時になったら来るんだ!呼んだんだろ!さっさと呼ぶんだ!」

「……これは誰が撮ったんだ」

「本物の写真家だ。でも本当に探偵経験があるかはわからない、でもユリミア様が雇った写真家だ。絶対そうだ」

「(一歩遅かったら…俺もコイツみたいになってたんだな…)」



 …ミアの虜になった人間の末路はコレなのか…。

 あと一歩遅かったらカリブルス帝国はミアを崇拝するベルティナ王国と同じ状態になってただろう。


「(ありがとう、ペラペラと話してくれて)」


 ユリアスはそう言うとコンッと音を鳴らした。

 音に気付いたアルベリクは…表情を変えて第二王子を見た。険悪な表情をするアルベリクに戸惑う第二王子…


 怒りを抑えながら…アルベリクは口を開いた。


「そうか…不貞か…。君はどう思う?

「え…」

「フフッ あまりにも酷い捏造で笑っちゃいそうでした。何度も笑いそうになって大変でしたよ」

「えっ…えっ!?あ、あれ?!か、髪が!鱗が!!」


 第二王子が驚くのも当然だ。誰も今のユリアスを知らないのだ。

 黒髪ではない淡い緑色の翡翠の髪、クレイに返した顔のの鱗、ロングからショートに…第二王子の写真に当てはまるモノは何処にも無かった。

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