同志は身近な所に 2
ダンは姿を消して監視兼護衛の状態に入った。離れた所にはエルネストの護衛がいた。
「早くしてよね、僕は忙しいんだ。お前に構ってる時間は無いんだよ」
「わかりました。では…聖女エリス様をどう思いますか?」
「はぁ?いきなりなんだよ」
「お答えください。時間が無いのでしょ?」
「くっ…」
直ぐ様本題に入って質問を始めた。内容はエリスについてだった。
「せ、聖女エリスはこの国の為に頑張ってくれてる。聖女でありながらも自ら戦場に出て治療や前線の援護をする程…強い女性だ」
「国母に相応しいと」
「それに、あの見た目で護身術も身に付けてる。自分で自分を守れるよう厳しく育てられたそうだ。カッコイイだろ」
「強い女性ですね」
「それだけじゃない、困ってる国民の為に支援や援助をしている。食べ物を与えたり衣服を寄付したりと…まさに女神のような人だ」
「ふむふむ…なるほど、では少し変えましょう
交互は質問・回答をするのです。いいですか?
皇太子殿下に相応しいのはどんな方が理想ですか?」
「そんなの国の為に尽くしてくれる人だ。愛だけじゃない、あらゆる知識を持つ人だ。
じゃあ逆に聞くぞ、どんな人間は相応しくない?」
「天使の顔をした悪魔ですね。表では善人を演じ裏では戦争を起こそうと企んだり、恐ろしい悪事を働く者ですね。
この人間をどう思いますか?」
「絶対に皇太子妃にしちゃダメな
…やっぱり国の為に頑張ってくれる人が相応しいよな?」
「はい。まさに聖女エリス様ですね。
他国の愛され王女でも、彼女には勝てないでしょう」
「あぁそうだ、所詮は他国の人間。信用出来ない。偏見や差別じゃない、やっぱり信用出来る人が皇太子妃なるべきじゃないか?」
「その通り、女神のような彼女こそ皇太子殿下の隣に相応しいです。
悪魔な天使など、絶対にダメですよね?」
「あぁそうだ、絶対にダメだ
悪意ある情報を広げるヤツとかもっとダメだろ」
「ダメですね。バレてないつもりで他人に罪を擦り付けるような者など…絶対にダメですよね」
「ダメじゃない、無しだ。絶対に兄上の隣にも、帝国に居ることすらダメだ。あり得ない。
だったら最初から赤の他人よりも…自国の人間が良い。
彼女は信頼、信用出来る…だから…わかってるだろ?」
「フフッ」
やはりユリアスの目に狂いは無かった、間違いない…エルネストは同志だ。
そして…ミアの悪事に気付いている。
2人は立ち上がって握手をした。
同志よ、手を組もうじゃないか
「やはり同志でしたか、どのようにしてミアの悪事に気付いたのですか?」
「例の手紙のケイオスに見せてもらったが、あまりにも馬鹿丸出しな内容だった。
すぐに自分がやってたことをアンタに擦り付けてるってわかった。
あの書き方は自分がやってるからこそ詳しくかけるんだよ」
「えぇ、その通りです。ここまで話が分かる方だったとは」
「アンタも16歳らしくないね、15の僕が言える事じゃないけど」
大人顔負けなやり取り…ミアの悪口を良いながらエリスこそ皇太子妃に相応しいと称えていた2人…色々ヤバすぎる。
しかし問題は此処からだ…
「しかし問題があります。エリス様が想いを寄せていても皇太子殿下はミアに想いを寄せています。ミアには婚約者がいるので…救いが無さすぎる三角関係になってます」
「マジで?…じゃあどうするの?」
「エリス様に頑張ってもらうしかないです」
「マジか…でも時間は掛からないと思うよ、兄上はエリスの事を悪くは思ってないから、その内両想いになるでしょ」
「しかしミアの影響力はとんでもないモノです。まるで洗脳です…文字だけでも相手を虜にしてしまうのです」
「…でもまぁ、だいぶ兄上に掛けられてたのが解け始めてるから…何とかなるかもよ」
「ホントですか?」
「うん…」
それなら可能性はあるだろう。とにかくエリスに頑張ってもらって皇太子妃になってもらおう。
「でも何で皇太子妃になりたくないの?散々失せろと言ってた僕が言うのもアレだけどさ…理由があるの?ただ結婚したくないだけじゃないよね?」
鋭いな…同志なら話しても良いだろう。
「私、自由になりたいのです」
「は?自由?」
「はい、自由です。誰にも縛られる事も文句を言われ事も無く、自分の好きなように生きたい…だから自由になりたいのです」
「なるほどね…悪くない目的だ…良いよ、協力してあげる」
「ありがとうございます」
16歳の王女と15歳の皇子の…とんでもない作戦が帝国を混乱させる一大事を起こすのであった…。下手したら…国際問題になってた…
ってかこの2人…人生2週目かよって思う程賢すぎない…大人顔負けよ…
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