第35話 学院選抜試験⑦校長合流
【いや草】
【強すぎて草】
【俺たちの心配は何だったんだろうか】
【今どきの学生さんって強いんだな(トオイメ)】
【おかしいから。ロックドラゴン封殺とか君たち強すぎじゃないか?】
【スカウトしたいけど学院生徒にやったらダンジョン協会に怒られるしなぁ……】
【とりあえず無事を祝おう。やられてた生徒もみんな無事だったし、よかったよな】
【助けに行くと聞いて慌てたけど、なんの問題もなかったんだな】
【さすがアークデーモンもバロールも悪夢の王も倒したパーティーだ】
【かいがいしく生徒たちの世話をしてる鞘村さんも女神のようだった】
【天使と女神……夢乃間くんが羨ましいぞ……(ギリリ)】
【でもさ?なんか本格的に戦い始める直前にキスしてたように見えたけど……?】
【先生!夢乃間くんが公衆の面前で破廉恥な行為をしてました!】
【咲良ちゃんに何か言われてからだったようにも見えたけど……】
【でも強いよな。ロックドラゴン全体に張り巡らした魔法障壁で全ての攻撃無効化とか普通できん……】
【くぅ……平凡顔なのにモテモテ……】
無事にロックドラゴンを倒したおかげでコメント欄では僕たちは絶賛されていた。そして変な方へ向かっていた。
それを見て絵里奈さんは冷たい視線を向けてくるし、恥ずかしそうにしている咲良さんは何も言えなくなってる。仕方ないな。ここは僕が男らしく……
「あっ、先生が来たね」
全力で話を逸らした。
【にっ、逃げたぞ!!!】
【いやでも良かったな。これで全員無事に帰れるだろ】
【甘い世界が展開されてたけど、ここ異常事態が起きてるダンジョンの中だもんな】
来てくれたのは校長先生たちだった。
校長先生は前回も来てくれたけど、フットワークが軽い生徒想いの良い先生だ。
「白石、お疲れ様。遅くなってすまなかった」
「いえ。夢乃間くんたちのおかげで誰も欠けることはなかったですから。みんなを頼みます」
「みんな?お前は?」
「回復させてもらったので行けます。学院選抜試験としては私たちのパーティーは敗退でいいですが、この先のことは私も見に行きます」
「回復してるなら問題ないか」
「はい、お願いします」
白石生徒会長と水無月校長がそんな話をしていた。
校長先生はめちゃくちゃ強いらしいし、生徒会長もしっかり回復しているから僕としては問題ない。むしろ何がいるのか分からない以上、戦力は必要だ。
その他の先生方が、溝口さんたちを保護して帰還させるようだ。
その溝口さんが運ばれながら声をかけて来た。
「夢乃間、天城。助かった。全員助けてくれてありがとう。試験開始前に突っかかって悪かった」
そう言って頭を下げて来た。
「いえ。メンバーのためだったと思いますので。僕の方こそ煽るようなことをしてすみませんでした」
謝られたので謝り返す。
別に敵ではないからね。
ちゃんと謝れる人なのであれば、遺恨を残す必要はない。絵里奈さんはまだ睨んでる気がするけど、あとで宥めておこう。
……念のためだけど、僕を睨んでるわけじゃないよね?……キスに怒ってる?あれはその……スキルのため、ロックドラゴンを倒すためだからわかってくれるよね?
でも、そうだな……。何なら今、配信が生徒会長と校長先生に集中しているうちに、もう一度……。もしキスが原因だったらこれで許してくれるんじゃないかな……。
「5層はどうなってるだろうか……」
ただ、いきなりキスなんかしたら怒られるかもだから、次の敵を警戒している体で行こう。
「ロックドラゴン以上のモンスターがいるかもってこと?」
「前回のパターンだともっと上……SSランク?」
咲良さんと絵里奈さんの2人は予想通り警戒を強めてくれたようだ。
この流れで畳みかけるよ。
「ここでバフをかけておこうかと思ったけど……いるかな?」
「……」
「……♡」
黙られるとちょっと辛い。まるで僕がキスをしたがってるみたいじゃないか。したがってるけど。
まぁでも、表情を見る限りNGじゃなさそうだから、咲良さんとまずはしておく。
少しだけ震えながら、そして赤くなりながら、僕の唇を受け入れてくれる。
えっと、これもう告白とかしたらOKしてくれるんじゃないか?いや、ダメか。もしダメだった時に立ち直れないしな。あくまでもバフのため。バフのためなのにキスするのを恥ずかしがってるだけだ。
そして絵里奈さんの方を向くと……
むしろ唇を奪われた。
「(咲良ばっかりずるいんだから……)」
「えっ?」
なにか言われたけど呟くような小さな声で聞こえなかった。
でも、表情が緩んだからこれで良かったんだろう。
完全な役得を楽しんでいたんだけど……
「お前たち……」
ばっちり白石さんに見られていた……。校長先生も呆れたような表情で……
【これが青春ってやつだよな】
【まさか2人ともとか……】
【〇ね!】
【うらやまし~(血涙)】
【そもそもなんでダンジョン内で?】
【緊張感を持てよ!!!】
【いや、余裕だったしね、ロックドラゴンでも】
【若いね~】
【超強いチームに文句なんてないし、人助けもしてて素晴らしいんだけど、このハーレム野郎め!!!】
散々からかわれ続けた。
咲良さんはもうスマホを締まってしまったみたいだし、絵里奈さんはチラチラ見つつ僕の反応を楽しんでいたようだった……。
「よし、行こう。5層へ」
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