第32話 学院選抜試験④抱っこ
【で?どっちが本命なんだろうか?】
ぶはぁ……。
【あはははは。焦ってるの可愛い】
【お前ら、選抜試験中でダンジョンの中なんだぞ?妨害やめれ】
【そうだった。すみませんでした】
【あまりにも余裕感のある探索で気が緩んでた。ごめんよ】
不意打ちはやめて欲しい。そもそも本命もくそも、僕と天城さんや鞘村さんじゃ釣り合わない。
超絶美少女な彼女たちには相応しい人がいるだろう。
僕は学院にいる間、固有スキルを駆使して彼女たちの支援をするだけさ。
うまくSランクになれたら卒業してからも組んでもらえるかもしれないけど、それはまだわかんないしね。
変な夢を見る気はないよ。さよならが悲しくなるからね。
【変な質問は気を付けるべきだと思うけど、その質問に女の子2人も食いついてたように見えたけどな】
【やめなさい】
【すみませんでした】
ほんと、やめて欲しい。僕の精神を削らないで……。
【いま、4窓してるけど、溝口って子たちと、生徒会長のところは3層を突破したね。もう一チームは3層に入ったところだ】
【平日に4窓とか羨ましい……】
【敵としてゴーレムとか、スカルナイトとか出てる。明らかにDランクダンジョンのレベルじゃない】
「少し急ごうか」
「そうね。離されすぎるのはまずいわよね」
「うん。行こう!」
そうして僕たちは咲良さんを先頭にして走った。
2層はあっさりだった。
【はやっ】
【えっ、まじで速すぎね?】
【さすが探索者だ。学生でもすっげーんだな】
【たぶん速度アップの魔法も使ってるよね?】
【使ってるどころか、リーダーと鞘村さんで重ね掛けしてるだろ……】
【優秀すぎて草】
今のところコメント欄も飽きた感じはなくて順調だ。別に配信を意識する必要はないんだろうけど、小心者としては見てくれてるなら楽しんでほしいとか思ってしまう。
そのまま3層も突っ走る。
僕はすでに走らず浮いている。
「燈真くんのそれ、ずるいわよね……」
「羨ましいのは確かよね」
「えっと……」
【ウケる。【悲報】夢乃間リーダー、美少女2人を走らせて優雅に飛んで顰蹙をかってしまう】
【浮遊魔法自体が難しいし、それで速度出すなんて相当高度なのに肩身狭いの笑える】
なんだろう。お姫様抱っこでもして飛べばいいのかな?
うん、やってみよう。
「じゃあ、失礼して……」
「えっ、きゃっ」
「恥ずかしいけど、羨ましいみたいだし、"真実の愛"の効果も見込めるからいいよね?」
「……♡」
【おぉっと~、夢乃間リーダー!ここでまさかのお姫様抱っこだぁ!!!!】
【先生!咲良ちゃんが真っ赤になってるよ!】
【放っておきなさい。嫌がってないのなら。あと、夢乃間リーダーは後ろを見た方が良いとだけ言っておこう】
えっ、うしろ?
そう思って視線を向けると、こっちを睨んでるさや……絵里奈さん……。えっと……?
「咲良ばっかりずるいよ!私も!!!」
【おぉっと、ここで鞘村さんの必殺技、おねだりだぁ!!!】
【凄まじい攻撃力ですね……】
【ほら、リーダー!鞘村さんも抱っこして差し上げなさい!】
【どうやって!?!?】
えっと……仕方ない。ここは一回咲良さんを降ろして……
いや、なんでそんなに切なそうな表情に!?
まぁ、仕方ないよね。うん。次は絵里奈さんを抱っこだ。
【そして女心をたぶん1mmも理解していない夢乃間リーダーが今度は鞘村さんを抱っこだぁあぁぁぁあああ!!!】
【爆ぜろ!】
【もげろ!】
【はげろ!】
【ネット民が全員嫉妬にかられてて草】
【諦めてまた走ってる咲良ちゃんが切ないよ〇ラエも~ん!】
【仕方ないの。彼らはアオハルな世界にいるのよ?】
もうなにがなんだかわからん……。
「ようやく4層に着いたね」
僕はそこで抱っこしていた咲良さんを降ろす。
いてっ。
なにかと思ったら鞘村さんに蹴られてた。
「急にお姫様抱っことか恥ずかしいのよ!?」
「……♡」
「ごっ、ごめん。浮遊してみたそうだったから」
「だからってなんでお姫様抱っこなのよ。恥ずかしいでしょ!?」
「……♡」
「って、こら咲良!帰ってきなさい!」
「あっ、ごめん」
「まったくもう。真面目にやってよね。もう4層なんだから!」
「「はい」」
4層はこれまでよりも濃い魔力に覆われていた。
【ようやく青春が終わったな】
【ほんとだな。なんだろう、急に切なくなったけども】
【だよな。若いっていいなって思って、昔を思い出してみたけど、俺にはあんな記憶はなかった】
【女の子を交互にお姫様抱っこするとか、なくない?あったらどんなプレイボーイよ】
【クズだな……】
【昔ならともかく、今は一夫多妻も、多夫一妻も可能だから問題ないのでは?】
【羨ましい~~~~~~】
【【悲報】学院選抜試験で若さ溢れる姿にネット民の脳が焼き切れるwwwww】
【こら遊ぶな。もう4層だぞ?なんか破壊の後もあるし、真面目にやろう!】
コメント欄で指摘された通り、3層からの階段の横の壁が大きく崩れている。
これが事件の一部なのかな?
ダンジョンの壁を破壊するなんて相当強力な攻撃を放ったはずだ。
ここからは気を引き締めないといけないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます