第25話 クラスメイトたちの変化
□1年A組掲示板(鞘村絵里奈)
【イインチョ:絵里奈ちゃん、無事でよかった~】
【絵里奈:委員長も。お互いのチームメンバーもみんな良かった】
【ダイスケ:全くバロールに魔法が通用しなかった。鍛え直しだな】
【肉壁:拙者もだ。絵里奈様をお守りできず、申し訳ない】
【マユ:どんなキャラよ!?】
【鰐淵:ウケる。でも、そうだよな。まだまだ弱いなって思ったよ】
【ケンゴ:そうだな。天城は強かった。夢乃間も。俺たちダメダメだったな】
【ショウ:委員長と鞘村さんのパーティーはそれでも4層まで行ったんだ。俺たちなんてもっとダメだった】
【イインチョ:さすがに天城さん包囲網はね……】
【リュウタ:反省してる。明日謝るつもりだ】
【マナミ:うちも。ダンジョンの中で夢乃間くんに甘いって言われたけど、その通りだと思う。生死がかかってるダンジョンの中で、それを忘れてしょうもないいじめなんて】
普段は気安いやり取りや軽い愚痴、あとはアドバイスをし合ったりしている掲示板だけど今日は暗い。
一応、誰も欠けることがなかったから完全なお通夜モードとかじゃないけどね。
あと咲良包囲網については夢乃間くんが怒ってくれたようだ。ありがたい。彼は自己肯定感は低めだし、あんまり誰かと接しようとするタイプに見えないけど、探索に関しては真面目だ。
経験ある先輩探索者からの説教として皆には効いたのかもしれない。
以前は明らかに酷いことをしていても謝るなんて言葉は全く出てこなかった。
本当に彼が来てくれてよかった。
【ユウシン:なんだよ。海人のこと忘れたのかよ?薄情な奴らだな】
しかし納得していないやつががまだいる。
【ゆっきーな:本当よね。なのにお気楽にキスなんかしちゃって。あ~やだやだ。真面目にやってほしいよね。私たちまで品性が疑われるわ】
クラスで一番下品な女が何か言ってる。
そしてあなたのいう真面目にやってないやつらのおかげで全員無事だったのをどう思っているんだろうか?
【サトウ:震えてただけだったくせによく言うわよね】
【ゆっきーな:は?】
【マユ:さすがにあの状況で天城さんけなすとかないわ~。誰のおかげで生きて帰ってこれたと思ってるの?】
【ハヤト:お前らそんなに手のひらコロコロしてて、プライドないのかよ?だっせー】
【ソウタ:どう考えてもダサいのは木瀬たちだと思うけどな。まぁ、お前らは勝手にしなよ。俺たちはもうこんなことはやめる。許してもらえるかはわからないけど、問題はそこじゃない。まず謝罪だ】
【ユウシン:はぁ?ふざけんなよ?そもそも今回の件だってあいつらのせいなんじゃないか?】
【イインチョ:どういうこと?ただの誹謗中傷ならさすがに許せないよ?】
【ユウシン:だっておかしいだろ?今まで安定してたダンジョンがあいつが来た途端におかしくなったんだぜ?】
【絵里奈:そっち?ほんとバカね。今度は燈真くんへの誹謗中傷なの?】
【ユウシン:あぁ?】
【絵里奈:そんな不確かなことを言い出したら、それこそ全員可能性があるわよね?そもそもみんなと一緒にしかダンジョンに入ってない燈真くんが何をするっていうのよ】
【ユウシン:知らねぇよ。それこそ体質だから問題ないとか言い出すんだろ?いい迷惑だよな】
【絵里奈:はぁ。バカらしい】
【ユウシン:はあ?なんだと?】
【肉壁:それ、対処できないみじめな自分に怒ってるということでござろうか?だっさ】
【ソウタ:そうなんだろうね。『ボク、弱すぎて何もできないんだから迷惑かけんなよてめぇら!』って喚いてるだけだよ。もうほっとこ】
【マユ:やば。でも、そうだよね。実際、ダンジョンの中では自分で対処するしかない。誰かの悪影響を受けたとしても、それは回避できない人が悪いのよ。それが現実ね】
【サトウ:そうね。私たちも甘えてた。やっぱり明日謝ろう】
木瀬遊心のパーティー以外のクラスメイト達の中では謝ることは確定しているようだ。
これで少しはクラス内のぎすぎすした雰囲気は薄れるだろう。
アンチ咲良の急先鋒だった木瀬遊心と安藤優樹菜が居づらくなるのはどうでもいい。
嫌なら力を示すしかない。それが探索者育成学院だ。
皆に言われている通り、今の彼らはだだをこねている子供なんだから。
木瀬遊心、安藤優樹菜、香取耕平、島田隼人、杉山結衣の5人は1年A組の掲示板から抜けて行った。
【イインチョ:謝るなら早い方が良いよね、みんな。申し訳ないんだけど鞘村さん。天城さんと夢乃間くんに時間貰えないか聞いて欲しいんだけども、頼めるかな?明日の放課後とかで】
【ソウタ:お願いします】
【マユ:ここにもいないんだもんね。ごめん、お恥ずかしながら連絡先も知らず……】
【リュウタ:みんなそうだ。だから謝るんだ】
【絵里奈:もちろんいいよ。というか、今聞いた。みんなから話があるとだけ伝えたけど、明日の午後OKだって】
【イインチョ:ありがとう!】
咲良は性格も天使みたいだから、ちゃんと謝って話せば許すだろう。
そして咲良が許せばきっと燈真くんも気にしない。本当に良かったわ。
あとは……
【絵里奈:みんなにお願いがあるんだけどいいかな?うちのメンバーを入れてくれるところを募集したいの】
【イインチョ:えっ?】
【ソウタ:どういうこと?鞘村さんは?】
【絵里奈:パーティー内ではもう話したんだけどね。私、バロールに捕まってた間に"魔力耐性"取ってたのよ】
【イインチョ:なるほど。天城さんのところに入るのね?】
【絵里奈:うん。もともと、もし取れたら入れてって言ってたし、それは今のチームでも話してたから】
【ソウタ:すごいね。でもそれだけあの状況がきついものだったってことだよね?】
【絵里奈:実際に死んだと思ったわね。だから助けられたときには感情が暴走しそうでヤバかったわ】
【ソウタ:なるほど。でも、それ大丈夫かい?天城さんと……いや、愚問だったね】
【絵里奈:ちゃんと話してあるから大丈夫よ】
【肉壁:羨ましいでごわす!ボクチンも必ずや"魔力耐性"をゲットして入れてもらうのですじゃ!】
【マユ:あぁ、うん。よしよし。キャラ崩壊するほど辛かったんだね。よしよし】
【肉壁:咲良×燈真も絵里奈×燈真も、咲良×絵里奈も見れないのが辛い(涙)】
【マユ:あぁ、うん。私勘違いしてたわ】
【リュウタ:だったら、徹君はうちに来ないか?】
【松田:光一、いやここでは肉壁くんのほうがいいのかな?君はうちに来て欲しい】
【イインチョ:えっ?早い者勝ち?だったら梨沙ちん来て~】
良かった。メンバーの行き先は困らなくていいみたい。
梨沙と、あとちょっと徹にはアンチ咲良の気配があったから懸念してたけど、能力はある。新しい環境でまた頑張れるだろう。
私は改めてよろしくと言い合っている様子を眺めながらスマホを置いた。
そろそろ寝よう。さすがに今日は疲れたから……zzz
ちなみに翌日は生徒会長に呼び出されてダンジョン探索に駆り出されたためクラスメイトの謝罪の場は来週に持ち越しになってしまった。
おのれ生徒会長め。
私たちの夢乃間くんにキスするなんて……
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