魔力をまき散らす超絶美少女(ただしボッチ)にペア結成を迫られた件~言い寄ってくるSランク探索者から逃げて学院に来たんだけど、まぁいっか。超可愛い子と一緒に頑張ってSランク探索者を目指すなんて青春だね!
第21話 3度目の学院ダンジョン探索は……構図だけ見たらハーレムだった
第21話 3度目の学院ダンジョン探索は……構図だけ見たらハーレムだった
「では行こう。あぁ、とりあえず雑魚モンスターはどうにでもなるだろうから、天城はついてくるだけでいい」
「はい」
「すまないな。私が"魔力耐性"を持っていれば良かったんだが」
「えりりん……いえ、鞘村さんもいるし、大丈夫です」
「目指すは5層のボス部屋だ。そこにこのダンジョンコントローラーを設置する」
「それで異常に強いモンスターの出現を抑えられるんですか?」
「可能性がある、という程度ではあるがな。実際に設置した変動ダンジョンは安定しているという報告がある」
僕たちは入り口で任務の確認をしてから、出発した。
もうすでにモンスターたちがポップして一定の数になっていたが、今回の探索は実習ではないので回避できるものは回避して進む。
「ふむ……夢乃間は予想通りだが、鞘村もなかなか良いな。基礎ができていて安定している」
「……」
「ありがとうございます」
生徒会長は僕らの能力を確認しながら進んでいたようだ。僕にとっても意外だった……というと失礼な話だが、鞘村さんは優秀だ。特筆すべき点はないのかもしれないが、弱点もなさそうだ。
そして褒められて、少しぎこちないながらもお礼を言っている。
なぜぎこちないかはわかる。僕も今非常に居心地が悪い。
何故なら……
「それにしても夢乃間。君はいいな。そこそこの速度で移動しているが、ずっと浮遊でついて来ているうえに、全く疲労していない。なんだったら天城を気にしつつ、鞘村に回復をかけていただろう?」
生徒会長……距離が近いです。
走りながら僕に寄り添ってるとか、ちょっと落ち着かないんですが。僕も、他の2人も……。
「生徒会長!距離が近くて燈真くんが戸惑っているので離れてください!」
「ふふふ。別に嫌じゃないだろ、夢乃間?」
「いや、ちょっと……」
僕にどうしろと?
ナチュラルに息がかかりそうな距離にいるのはやめてほしいけど、だからと言って女性を物理的に引き離すのは難しい。
なんか良い匂いするし……。
だけど、これはまずいよね。明らかに僕の天使がジト目でご立腹だ。
うん。一夜の夢のために今後の幸せを手放すような愚かな選択を僕が選ぶことはあり得ない。
残念ですが、生徒会長。離れてください。そう思いながら口を開こうとしたが……
ガシッ
両腕を掴まれて無理やり引きはがされた。天城さんと鞘村さんによって。
うっ?うん?
「ボス部屋ですが、もうモンスターがいるようですね」
気を取り直して仕事をする僕。
さっき起こった出来事について、まるで何かありましたかと言わんばかりのスルー。
一言も触れることなく、神の作り給うた芸術のような精密なムーブで自らの仕事をする僕。完璧だ。もう誰もさっきのことを覚えてすらいないだろう。
そして実際にポップしているボスモンスターの気配まである。
そもそも遊んでる場合じゃない。
「気配は5つか。あまり強い感じはしないな。乱入して可能な限り倒し、そこから展開するか」
生徒会長……結構、脳筋な選択をされますね。見た目は天城さんと張り合えるくらいの美少女で、アイドルとかでも裸足でゴーアウェイしそうですが。
まぁ、天城さんも脳筋だから、美少女とはこういうものなのかもしれない。僕が今まで知らなかっただけで。
いや、でもいいのかな?みんな天城さんの魔力放出のこと忘れてない?
この僕であれば固有スキルのおかげでなんとか気絶寸前で耐えられるけど、生徒会長と鞘村さんは無理だよね?
「では行くぞ!」
「はい!」
そんな2人が率先して突入した。なるほど、天城さんにはそもそも戦闘をさせないってことなのね。
そりゃそうか。じゃあ僕も行かなくては。
それがわかっているからか天城さんは率先して行こうとしていないね。
生徒会長と鞘村さんに続いて飛び込んだ僕が見たのは準備万端で周囲に魔力球を複数浮かべたオークメイジたち。
***Monster Date***
名前:オークメイジ
種族:オーク
強さ:Cランク相当
特徴:個体ごとに異なる属性の魔法を操る。群れを組んで連携してくると厄介。
********************
それが5体。ここ数日で出て来た悪魔たちのせいでずいぶん弱く感じるけど、Cランクだし、5体いるからね?
忘れていると思うから一応言って置くけど、ここはDランクダンジョンなんだ。
しかし余裕はない。何せ今回は天城さんが不参加だ。僕たちだけで倒さなければならない。
しかも相手は用意していた魔法を連射してくるようだ。
鞘村さんはマジックシールドを展開したようだが、白石生徒会長は殴り込んで……もう1体倒してるな、さすがだ。
でも、既にいくつかの魔法が白石生徒会長に向けて発射されている。
僕はそこに割り込み、生徒会長を守りつつ魔法を弾き返す。やっぱりこの魔法便利だよね。ミラーカウンター最高!
「男の子に庇われるというのは悪くないものだな」
あっさりと5体のオークメイジを倒しきったところで、白石生徒会長がそんなことを言い出した。
いや、目が怖い。生徒会長のパーティーなら配信で知ってるけど、男性の前衛いましたよね???
そんなことを思っていると、再び距離を詰めて来た生徒会長の可愛らしいお顔がさらに近付いてきて……寸前で顔を背け、両腕で生徒会長の肩を押し止めた。
「男の子にキスを拒まれるというのは悲しいものだな」
「なにしてるんですか!!!?」
「生徒会長!ちょっと!!!?」
「いや、ちょっと待って咲良!」
戸惑う僕の背後で天城さんが怒りだしたかと思うと、それは凄まじい魔力に変わった……って、不意打ちすぎるでしょ!?
僕はその魔力に驚き、前に倒れ込んだわけだ。みんなわかるよね?そこに何があったか……。
怒りながらアシストするとか、どういう状況なんだよこれ。
「不意に奪われるキスというのも悪くないものだな」
冷静に言うことじゃないでしょう!!!?
「これでよしと。協力に感謝する。次は学院選抜で会おう」
白石生徒会長がダンジョンコントローラーを設置して任務完了。ねぎらいの言葉を受け取って解散する。
解散した後、僕は当然ながら天城さんと鞘村さんからの冷たい風を受け続けることになった……。
理不尽さを感じる一日だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます