魔力をまき散らす超絶美少女(ただしボッチ)にペア結成を迫られた件~言い寄ってくるSランク探索者から逃げて学院に来たんだけど、まぁいっか。超可愛い子と一緒に頑張ってSランク探索者を目指すなんて青春だね!
第16話 ダンジョン探索実習②~2つ目の固有スキル解放
第16話 ダンジョン探索実習②~2つ目の固有スキル解放
□学院ダンジョン5層(夢乃間燈真)
僕らが降りた5層は、4層よりもさらに濃密な魔力が充満していた……。
「どっ、どういうことだ?なぜこんなに魔力が?」
先生も慌てている。
あのバロールが委員長たちと鞘村さんたちを襲撃してから僕らが倒した時間を考えると、もっと魔力は薄まっているはずだった。
それが、バロールがいた4層よりも濃い魔力……。
「みんな退避だ!見つかる前に!」
これはまずい。明らかにより強力なモンスターがいる。
「逃げろ!」
「押さないでよ!」
「急げ!……いてぇ」
「なに?進めないわ!」
みんなが今降りて来た階段を引き返そうとするが、途中で何かにぶつかって進めない。
あれはきっと魔法障壁だ。
さっきまではなかった。
明らかに僕らを返さないためのもの。
こんなことがあるのか?
相当高位のモンスターがいる。
これはやばいか……。
そもそもどうして?
もしかして今このダンジョンにボスとしてポップしたのはバロールじゃないのか?
Aランクを超えるモンスターが出現して、そいつがバロールを召喚したのか??
まずいぞ……。
どう考えても天城さんに全力を出してもらい、僕もできる限りのことをしないと戦いにすらならないかもしれない。
クラスメイトのことなんか気にしてる余裕はない……。
『……アビスフォール……』
「固有スキル”絶対防御"」
そんな俺の考えは当たっていた。
この世のものとは思えないしゃがれた声で唱えられた魔法は、奈落のような光景を生み出す闇属性魔法だ。
「
やっぱりヤバい奴だった。こいつはSランクだ。
しかしその魔法から生徒を守ったな?
『ホウ……防イダカ……』
「俺の生徒に簡単に手は出させんぞ!」
先生……凄いな。
4層から降りてくる階段を丸ごと覆うように展開された障壁だった。
言葉通り、先生の固有スキルなんだろう。
『イツマデ耐エラレルカ……アビスフォール!』
「ぐぅ……」
凄まじい魔法。それでもあいつにとっては連発できるような魔法なんだろうけど、やばい威力だ。
まき散らされる魔力も多い。
「くぅ……」
クラスメイト達は厳しそうだ。先生の魔法で耐えてはいるが、濃密な魔力自体がダメージを与えてくる。
「夢乃間くん、行ける?」
「あぁ」
まともに立っているのは天城さんと僕だけだ。僕たちがなんとかするしかない。
「あれ、相当強いよね?」
「あぁ。
「えぇ??」
あっ、まずいかな?
天城さんに聞かれたから答えたけど、普通に聞いたら状況に絶望してしまうかもしれない。
案の定、クラスメイト、そして先生の表情が恐怖に染まっている。
うん、ミスった。ごめん。
天城さんまで怖気づいたりしていないことだけが救いだ。
考えていたとおり、僕らで何とかするしかない。
うん、大丈夫だ。行ける。自分を信じろ。
できることをやるんだ。
天城さんを見る限り、普通にAランクは超えていると思う。
きっとうまく支援できれば戦える。
唯一の悩みは、あれを……僕の固有スキルの2番目を使うかどうかだ。
これのせいで鬼女から迫られた。僕にとっては嬉しさや楽しさより苦痛が勝るスキル。
可笑しいな。普通、理由付きで親愛行動をとれるスキルなんて、役得以外のなにものでもないはずなんだけどな?
って、説明してなかったね。
僕の2つ目の固有スキルは"真実の愛"だ!
恥ずかしいからもう言わないよ?
これを発動して親愛行動をとった相手と自分にバフをかけるスキルだ。
実は4層で鞘村さんを回復させたときにも使ってた……。
まぁ、それで僕に惚れやすくなるとかそういう副作用はないから、許してほしい。
僕は平凡。僕は平凡。僕は平凡。
戦闘に勝って生き残るために必要なことをするだけだ。
きっと天城さんも許してくれるだろう。
「天城さん、僕は2つ目の固有スキルを使う。それで戦えるはずだ」
「本当? 大丈夫? Sランクチームを出た原因になったスキルって言ってなかった?」
「あぁ、そう。これのせいで嫌がらせを受けた。でも確実に僕らを強化できる。だから、使おうと思ったんだ」
「わかった。さすがに私ひとりじゃ厳しいから、一緒に戦ってくれたら嬉しい」
こんな状況でも僕を気遣ってくれる天城さんは優しいな。
「うん。その、ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、受け入れてくれるかな? 下手したら怒られるかもだけど」
「えっ? 恥ずかしい? えっと、うん。戦えるなら……うーんと、なにをするのかな?」
とたんに戸惑い始めた天城さん。
やっぱり気になるよね。そりゃそうだよね。恥ずかしいけどちゃんと説明しなきゃダメだよね。
「簡単に説明するね。僕のスキルは"真実の愛"と言って、親愛行動を取ると、その相手と自分にバフをかけるっていうスキルなんだ」
「しっ、親愛行動?」
「……ごめん、やっぱ嫌だよね。僕みたいなやつに……」
「ううん!? 私なんかにかけてもらえるのなら……夢乃間くんが嫌じゃないなら……」
全くもって嫌ではないです。
OK貰ったし、恥ずかしいからやってしまおう。クラスメイトが見てるのがさらに恥ずかしいけど、仕方ないよね?
僕は天城さんに顔を近づけ……
「んん?」
そのまま抱きしめ……口づけした。
「んん?♡」
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