第17話 ダンジョン探索実習②~vs悪夢の王

ドキドキ♡ドキドキ♡ドキドキ♡ドキドキ♡



やった。やってしまった。


目の前には真っ赤な顔をした天城さん。

周囲には悪夢の王ナイトメアロードの恐怖と、僕らのキスという衝撃の光景とで混乱したクラスメイト達。


「天城……夢乃間……そろそろもたない」

そして先生……。




「行こう、天城さん! あいつを倒すんだ!」

「……うっ……うん」

僕らは先生が展開している魔法障壁をすり抜け、悪夢の王ナイトメアロードに対峙する。

凄まじい魔力だ。

 

そして……


「なんかもの凄い魔力が高ぶってきてる……」

天城さんにはばっちり僕の"真実の愛"が効果を発揮していた。

これ、親愛度が高かったら効果が高まるとかそういう機能ないのかな?

あったらこれで逆に僕への好感度がわかったりしたら、もしかしたらもしかして……。



『ワザワザ死ニニキタノカ? シャドウストライク!』

「マジックシールド×30」

いかんいかん。気を抜いたらダメだ。相手はSランク。気を引き締めてかからないといけない。


僕はマジックシールドを多重展開してやつの魔法を防ぐ。


「ごめん、夢乃間くん、ありがとう! 私も行くわ!」

そして隣から一気に魔力が吹き上がった。

えっと、これやばい……。


"真実の愛"のバフで"魔力放出"も高まるのは反則じゃね?

僕……戦闘終了まで耐えられるかな?





弱気になるな、夢乃間燈真!

なんとか耐えろ!

耐えて天城さんの戦いを見るんだ!


キスして気絶してさようなら、なんて最低だ!



そこからは高度な魔法戦を繰り広げつつ、天城さんがパンチやキックを放っていく。


悪夢の王ナイトメアロードは応戦しているが、明らかに天城さんが押している。

すっげぇ……。Sランク相手にバフがあるからって圧倒できるなんて。


僕は支援魔法と回復魔法をかけ続ける。

親愛を込めて……これも"真実の愛"で力に変えてくれないかな? いや、ないだろうけど。

僕の魔法の効果も高まっているのは、"真実の愛"の効果だ。

 

悪夢の王ナイトメアロードの魔法は全て撃ち落とすか、僕が防いだ。一方で天城さんはかなりの数の攻撃を当てている。

優勢なのは僕たちだ。

先生とクラスメイト達はその状況を見て落ち着いたようだ。


さっきから僕には支援魔法をくれてるクラスメイトもいる。

ありがとう!

絶対に倒すぜ!


「夢乃間くん、ありがとう! 次で決めるから、時間を稼いでほしいの!」

「わかった!」

『小癪ナ……サセルカ!?』


悪夢の王ナイトメアロードは黒い球体を放つ。

その先は天城さんでも僕でもなく、クラスメイト達……。


させるか!?


「固有スキル”絶対防御"」


いや、先生がやった!

凄いな、連発できるのか?

それとも結構時間が経ったからか?


いずれにせよ、悪夢の王ナイトメアロードの魔法を防ぐのに魔力を使う必要がなくなった。

やつは今の魔法のダウンタイムに突入したのか、動きを止めている。



「シャイニングバスター!」

僕は悪夢の王ナイトメアロードに向けて魔法を放った。

光属性の魔法だ。

悪夢の王ナイトメアロードが喰らうにせよ、避けるにせよ、もうあいつには天城さんの邪魔はできないだろう。



「ありがとう夢乃間くん! 喰らえ! 上天聖地!」

『グォオオォォオオオオ!!!』

うん、僕の魔法も入ったし、さらに天城さんの攻撃も入った。っていうか、すっげーな、あの攻撃。格闘と魔法の合わせ技。さすが王の称号のダブル保有者だ。

チェックメイトだな。


天城さんがパンチと共に撃ち込んだ聖属性の魔力が悪夢の王ナイトメアロードを包み込む。

さっきのバロールくらいなら瞬殺できそうな威力。


それを防御魔法もなしに受けたらさすがにSランクモンスターでも抗えないだろう。



その予想通り、光がはれるとやつの姿はなく、大きな黒い魔石がぽつんと落ちていた。




「勝利!」

「やったぁ!!!」

それを見て僕がVサインを取っていると、なんと天城さんが抱き着いてきたんだけどやばくねこれ嬉し素敵すぎて脳が死にそうなんだけどどうしようそう言えばキスしたのみんな見てたよね恥ずかしいヤバい……。


それに気を抜いたせいか今になって魔力放出のダメージが……って、天城さん、魔力放出きれてないよ!抑えて!抑えて~!





「ごっ、ごめんね夢乃間くん!」

「うっ、うん……」

僕はなんとか飛び込んできた天城さんを抱きかかえる形で受け止めた。

そこで一瞬意識が飛んだけど、すぐに戻ってこれたようで倒れるようなことはなかった。


きっと"ド根性"と"真実の愛"の合わせ技のおかげだと思う。

カッコ悪いところ見せずにすんでよかった。


クラスメイト達も、天城さんが悪夢の王ナイトメアロードを倒したことで落ち着いた表情に戻っている。

今は4層の階段に張られていた障壁も消え去った。




 

「まさか悪夢の王ナイトメアロードを倒すとはな。そんなものが出たことも驚きだが、誰も欠けることなく倒したというのも衝撃だ。よくやった、天城、夢乃間」

そして僕たちは偉そうな先生に褒められている。

この人が救援として派遣された先生や生徒会の人たちのリーダー役のようだ。


やってくると同時に、固有スキルの連続使用で魔力を使い果たしていた後藤先生を回復させ、クラスメイト達に帰還を促した。

そして僕と天城さんとその先生の3人でボス部屋の確認に行くことを指示した。


天城さんと一緒に行って大丈夫なのかな?

なんてことは僕の杞憂だった。


なんでも"魔力耐性"の保有者なんだって。

どれだけモンスターの魔力を浴びてきたんだろう?

一緒にいるだけで強者だとわかる女性に同行するというのは、あの鬼女以来のことだった。


そして確認したボス部屋はやっぱり空だった。

しかし残っていた魔力は明らかに悪夢の王ナイトメアロードのものだった。



「状況証拠でしかないが、悪夢の王ナイトメアロードがポップして外に出た。あと、バロールを召喚した。全く、国の調査はなんだったんだ。いくらボスが可変式だからと言って、AランクモンスターとSランクモンスターが続いてポップするなんてことがあり得るのか?」

「絶対にありえないとは言えませんが、信じられないくらい低い確率だとは思います」

0ではない。

でも、0コンマどれくらいなんだろうか。

そもそもSランクモンスターが出る確率だって、0.000000……みたいな世界なんだよ?


考えても仕方ないけどね。実際に出たわけだし。


結局ボス部屋がもぬけの殻だったことしかわからなかった僕らはそのまま帰還した。




***あとがき***

お読みいただきありがとうございます!

皆様のおかげで作品フォローが400を超え、星評価100に到達しました。

また、合計10,000PVも達成しました。


引き続き多くの方に読んでいただくため、どうぞ作品フォローおよび星評価(☆☆☆→★★★)での応援をよろしくお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る